山梨県の県有地がある一角。手前左は清水港船宿記念館「末廣」=1月28日、静岡市清水区港町(渡辺浩撮影) 静岡市清水区の清水港近くに山梨県の県有地がある。フィギュアスケートのリンクほどの2060平方メートル。「海なし県」が清水に土地を持っているのは、江戸時代に甲州から江戸に運ぶ年貢米の保管場所だった名残だ。県は売却も含めて検討しているが、土地には静岡市の記念館や住宅、タクシー会社、歯科医院、自治会館に神社まであり、整理はままならない。(渡辺浩) 海との物流拠点昭和期の郷土史家、法月吐志楼(のりづき・としろう)の「清水港史話」によると、6代将軍の徳川家宣が甲府藩主だったころに米置き場ができた。米は甲州の鰍沢(かじかざわ)(山梨県富士川町)から舟で富士川を下り、岩淵(静岡県富士市)を経て、清水港から船で江戸に運ばれた。