福松を襲名しようとしてると聞き、「文の家かしく」という老落語家が「あいつは、なんぼほどええ名前をワヤにしたら気がすむんや」と怒り出し、70歳を越えていたが、彼に襲名させないため、あえて3代目笑福亭福松を襲名したという(かしくは初代福松の弟子だった)。 文の家かしくの推察では、新しい名前を継いだと公表すれば、まず祝儀が入る、襲名興行と銘打って人を呼べる、その金だけが目当ての襲名だ、と怒っていたらしい(桂米朝「上方落語ノート」)。 私は、いま、大名跡を並べていて、もちろん金も欲しかったのだろうけれど、何となく、こんな大名跡を次々と名乗ったらおもろいやろなあ、という芸人のふしぎな気分もあったんではないか、とふと、おもった。 いや、この5代文吾のキャラクターを知らないから、まったくの空想ではあるが、ほうっておくと芸人はそういうふざけたことをやりかねないからだ。 公のものである名前であるが、だれが管