小川 忠 (跡見学園女子大学教授、元国際交流基金ジャカルタ日本文化センター所長) 「親日国インドネシア」を巡る誤認 前回に続いて今回も歴史記憶をテーマとしたい。ネット上で流れる俗説に「インドネシアが親日的なのは、日本がインドネシア独立戦争をともに戦い助けたからだ」というものがある。これをうのみにして、インドネシアの人びとと接すると危うい。二つの事実誤認がある。 第一に、確かに現在のインドネシアは、世界有数の親日国だが、独立以来この国が親日的だったわけではなく、筆者が初めて足を踏み入れた80年代には少なからず反日感情も存在していた。その理由の一つは1942~45年の日本の軍政支配が苛政であったと記憶する占領体験世代がまだ存命であったことだ。 第二の誤認は、インドネシア独立戦争時の日本の立場をめぐるものである。国としての日本はインドネシア独立戦争を支援したわけではない。というのは降伏した日本に
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