コンピュータ将棋の特長の一つに、誰でも簡単にソフト同士の対局実験ができるということがあります。人間の将棋の場合には、同じ人同士を100回、1000回と連続対局させて勝率を推定するというような実験は現実的に困難であるわけですが、コンピュータ同士なら黙々とやってくれます。実験ができるというのは技術開発にとって非常に大切なことです。 「同じソフト同士を戦わせたら毎回、同じ結果になるんじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、多くの将棋ソフトは序盤に擬似的なランダム性が入っていますので、その範囲内で違った結果になります。逆に言えば、一局の結果というのは確率的なものですので、統計的に処理して、誤差も考えないと、適切な能力評価ができないと言えます。 今回は、自己対戦/連続対戦の結果から勝率やレートを推定する際の誤差の問題について整理してみたいと思います。以下、先手後手の手番については、常に割合を