『誇りを持って戦争から逃げろ! 』 中山 治 「普通の国」を拒み、憲法九条改正に反対。武装中立を理想とするが、それが果たせないなら、庶民には国家に逆らって逃げて逃げて逃げまくることを勧める。 と書くと、どこかのナイーヴな左翼のようですが、著者は元々右翼青年として政治生活を出発し、今は「脱政治イデオロギー」を標榜している方です。 上の主張だけで「ナンセンス」と思う方はいらっしゃるでしょうし、実際、文体的にはかなり荒っぽいというか、政治的なスマートさに欠けています。「元右翼」というのもうなずけるような唾の飛んできそうな口調には、正直わたしもあまり良い気分になりませんでした。 議論のディテールについても洗練されているとは言えず、気持ちばかりが先走って論拠の薄弱な感が否めません。まるで受け付けないという人も少なくないでしょうし、世間の大勢が「普通の国」志向を隠しもしなくなっている状況では、「説得力