小学生の子供が勝手に漢字を覚える場合、印刷物を見て書き写していると、肩の第1画を横棒にしたり、冷の右の今の下のマがコザトのようになったりなど、混乱させられるし、学校でも矯正されることになる。漢字教育に関しては小学校の行過ぎた点画主義と批判される面もあるが、小学校以外の世界で標準字形が徹底していないことが、教育現場のかたくなさを生んでいるともいえる。 学習用漢字は教科書体で表すのがしきたりであったが、学習印刷物制作の便宜のために明朝もそれに習った字形のものが提供されるようになった。これはフォントデザインとしては奇妙なことであるが、実は中国も台湾もそれに似たことをしてきた経緯がある。ユニコードのCJK(ISO/IEC10646、JIS X 0221)では中国・台湾・日本・韓国の例字があるが、中国や台湾はサンプルフォントだけの問題ではなく、かなり標準字形を決めて、公用文書にも使用を義務付けている