東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県伊達地方特産の干し柿「あんぽ柿」から国の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたのを受けて、地元農家は一斉に干し柿の加工をやめ、今月から柿の実の廃棄を始めた。 伊達地方には約1030軒の生産農家がある。年間約15トンを出荷するという同県国見町の渋谷貞明さん(60)方では、数十本の柿の木にはしごをかけ、たわわに実った実を1個ずつ地面に落とすなどした。 本来なら10月中旬に収穫し、今頃は出荷作業に入っていたはずだった。だが、県が試験的に加工したあんぽ柿から最大で1キロ・グラムあたり713ベクレルの放射性セシウムが検出され、県は10月14日、伊達市など3市町に出荷自粛を要請。渋谷さんは今季の出荷を断念した。 あんぽ柿は、実を乾燥させる過程で水分が80%から30~40%に減り、加工後の放射性物質濃度が高くなる。同じく