演奏家がいきなり愛器を奪われ、億単位の金を請求されたら−−その驚きは察するに余りある。独フランクフルト国際空港の税関で、日本からドイツに入ったバイオリニスト2人が相次いで遭遇したケースは謎が多い。なぜこんなことが起きたのか。【梅津時比古、ベルリン篠田航一】 ◇日本「狙い撃ち」は否定 ベルギー在住の堀米(ほりごめ)ゆず子さん(54)は8月に愛器「ガルネリ」を、ドイツ在住の有希(ゆき)・マヌエラ・ヤンケさん(26)は日本音楽財団が貸与した「ストラディバリウス」を9月に押収された。密輸などの疑いをかけられ、堀米さんは19万ユーロ(約1900万円)、ヤンケさんは118万ユーロ(約1億2000万円)の関税支払いを求められた。 欧州連合(EU)域内に430ユーロ(約4万4000円)以上に相当する物品を持ち込む場合、税関への申告が原則必要だ。フランクフルト国際空港の税関などによると、2人は無申告で通過し