【編集委員・今井邦彦】大阪府高槻、茨木両市の阿武山(あぶやま)古墳(国史跡)で戦前に発見された棺(ひつぎ)に副葬されていた冠帽が、当時最高級の技法とされた綴(つづ)れ織りで金糸を織り込んだ可能性が高いことがわかった。被葬者として大化改新で活躍した藤原氏の祖、藤原鎌足(ふじわらのかまたり、614~669)が有力視されてきたが、それをさらに補強する発見だ。 古い織物に詳しい関西学院大の河上繁樹教授(日本染織史)が、男性の遺体の入った棺が発見された1934年当時の写真やX線写真を分析。金糸の端がいずれも急角度に折れ曲がり、何度も往復していることから、綴れ織りで金糸を織り込んだ冠帽と判断した。河上教授は「中国で『織成(しょくせい)』と呼ばれ、正倉院に伝わる奈良時代の織物にも類例がある技法では」という。 「日本書紀」によると、大化改新のきっかけとなったクーデター「乙巳(いっし)の変」(645年)の立