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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (758)

  • 「患者の命より自分の利益...」揺れる韓国医療、研修医ストライキが招いた悲劇の実態

    <政府の医学部定員増に抗議する研修医のストが長期化。医療現場の混乱は拡大し、患者は命の危険にさらされている> 韓国で2月に始まった病院勤務医のストが終わらない。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率低下も止まらない。実を言うと、尹と医者の間には長年にわたる確執がある。 2000年以前の韓国では、医者が処方薬も売っていた。薬を処方すればするほど儲かるから、どうしても薬剤の過剰投与につながる。患者の金銭的負担は増え、副作用のリスクも高まる。現に1990年代の韓国では総医療費の約3分の1が薬代だった。 この弊害を正すため、00年に医薬分業を義務付ける法案が採択された。医師は処方箋を出すだけで、調剤と販売は薬剤師が担当する仕組みだ。しかし、これを既得権の侵害とみた医師側は猛反発し、ストライキに突入して病院を閉鎖した。 そこで「医療法」が発動された。政府が公衆衛生上の危機と認定した場合に、医師や医

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  • ハリス氏惨敗の背景に「アメリカ中流階級の生活苦の悲鳴」が聞こえる

    <民主党はなぜ敗れたのかー。経済指標は良好で、株式相場も絶好調とバイデン政権は自画自賛していたが、猛烈な物価上昇に苦しむ多くの庶民に実感はなかった> ミネソタ州グランドラピッズで生活する5人家族の母親、クリスティン・マディ(44)は、少しでも出費を切り詰めるために安売り店で買い物をし、旅行に行くのも控えている。品価格の上昇を乗り切るために、ニワトリやガチョウやカモも飼い始めた。 マディは看護師として「立派な給料」を受け取っていて、夫のライアンも重機操縦の職に就いているが、一家の暮らしはギリギリだという。ところが、相次ぐ利上げによりインフレが沈静化し、景気が冷え込むことなしにアメリカ経済がソフトランディング(軟着陸)に成功するという見通しを示す人たちもいる。 ジョー・バイデン米大統領もその1人だ。8月半ばには、新型コロナのパンデミックとロシアウクライナ侵攻をきっかけに急速に進行したインフ

    ハリス氏惨敗の背景に「アメリカ中流階級の生活苦の悲鳴」が聞こえる
  • 「ハリス大敗は当然の帰結」──米左派のバーニー・サンダース上院議員が吠える

    民主党のハリス副大統領は6日、共和党のトランプ前大統領と戦った大統領選での敗北を宣言(ワシントンのハワード大学) REUTERS/Kevin Lamarque <まず白人労働者を見捨て、それからヒスパニック系と黒人の労働者を見捨てた民主党が、労働者に見捨てられたのは当然だ> 米大統領選でカマラ・ハリス副大統領がドナルド・トランプ前大統領に敗北したことを受けて、2016年と2020年の米大統領選で民主党から立候補して若者旋風を巻き起こしたバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出、無所属)が民主党を厳しく批判した。 歴史的な大接戦が予想されていた今回の大統領選だが、蓋を開けてみればトランプが7つの激戦州すべてを制覇する勢いで当選を確実なものにした一方で、ハリスは有権者から十分な支持を得られなかった。 ハリスの支持者たちから怒りと落胆の入り混じった声が上がるなか、民主党は既に選挙の敗因の分

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  • スペイン豪雨災害 行政対応の遅れが招いた人災

    ©️YouTube - DANA | Continúan las labores de búsqueda de desaparecidos en las zonas afectadas | EL PAÍS スペインのバレンシア自治州を襲った記録的な豪雨災害は、死者211名、多数の行方不明者が出る大惨事となりました。災害から6日が経過した今も行方不明者の捜索活動は続いていますが、日々増加する犠牲者の数を伝えるニュースに国民は深い悲しみと憤りを感じています。またこの災害では、自然の猛威そのものだけでなく、行政の初動対応の遅れと政府間の連携不足が被害を拡大させたとして、被災者をはじめとするスペイン国民の怒りは頂点に達しました。 事前予測があったにもかかわらず バレンシア地方では、この時期の豪雨は珍しくありません。しかし今回の災害では異常な規模の豪雨が予測されていたことから、国立気象庁はその日の朝

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  • 日本は働き手の「やる気」で世界最低...石破首相、「無気力ジャパン」をどうしますか?

    <石破首相は「幸せな日を取り戻す」と言うけれど...頑張って働くことに価値を感じない若者たちが増えているなか、それは可能なのか?> 10月、日は新たな首相を迎えた。9月の自民党の総裁選では、決選投票に残った2人の候補者に5分間ずつのスピーチの時間が設けられたが、そのスピーチで石破茂氏は60年前の故郷の夏祭りのことを話し「今ほど豊かではなかったかもしれないけれど、大勢の人が幸せそうでした。もう一度そういう日を取り戻したいと思っています」と訴えかけた。 私はこの言葉が非常に気になった。60年前とは1964年、高度経済成長期ど真ん中で東京オリンピック開催の年だ。戦後復興を果たし、これから日が豊かになっていく時代で、現在よりは貧しかったが、人々は夢と希望に満ちあふれていたことだろう。 私にはドイツに何人か親戚や友人がいるが、彼らから「最近のドイツの若者は働かない」とよく聞く。SNSの影響で

    日本は働き手の「やる気」で世界最低...石破首相、「無気力ジャパン」をどうしますか?
    yukatti
    yukatti 2024/10/24
  • 解雇規制緩和はジョブ型雇用とセットでなくては機能しない

    仕事を標準化すること、高度な業務のスキル教育を実現することが条件となる> 解雇規制緩和の議論が始まっています。この議論ですが、来であれば、バブル崩壊後の変革期に始まっても良かったのです。少なくとも1990年代において、電算化と国際化の中で、対応のできない人材を別の分野に適正化させる一方で、新しい世代の若い労働力に入れ替える必要があったのです。仮にそうなっていたら、これだけの超長期にわたって日経済が衰退することもなかったと考えられます。 では、解雇規制を緩和して、企業の社内も、また労働市場も完全に実力主義にしていけば、それが全体最適なのか、問題は単純ではありません。日型雇用の硬直した制度が改革されさえすれば、全体が成長してゆく中で個々人にもトリクルダウンと機会の拡大という恩恵があるのかというと、そう簡単ではないのです。解雇規制の緩和を成功させるのには、どうしても一つの条件が達成されな

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    yukatti
    yukatti 2024/09/25
  • ブラジルに続く?...「X」即時停止命令は他国にも広がるのか EU高官は「禁止もあり得る」と警告

    イーロン・マスクとブラジル当局の数カ月にわたる緊張状態の末、ブラジル全域で「禁止」されることになったX(旧ツイッター)。各国で規制が進むが、停止命令を出す国は出てくるのか──> ブラジルの最高裁判所は8月30日、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に対し、同国内でのサービスを即時停止するよう命じた。こうした禁止措置が他の国、とりわけアメリカと欧州でも取られる可能性はあるのだろうか。 ブラジル最高裁は電気通信事業を規制する政府機関に対して、2億1200万人が住むブラジル全域でXをシャットダウンするよう命じた。Xが裁判所命令違反を繰り返し、ヘイトスピーチと偽情報を拡散させたことを理由として挙げている。 停止命令は8月31日に実施されたが、その日に至るまでの数カ月間、Xを所有するイーロン・マスクとブラジル当局の間では、コンテンツモデレーション(投稿コンテンツの監視・排除)の取り組みを巡って緊

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  • 「セクシー発言」など問題ではない、小泉進次郎が農業改革に失敗した過去をどう評価するか

    <農林中金改革や補助金漬け農業からの転換を主張したが、結局は実現できなかった> 今回の自民党総裁選では小泉進次郎氏の動向が話題になっています。そんな中で、同氏が過去に「気候変動問題はセクシーに」という発言をしたとして「言葉が軽い」などと改めて批判されています。この発言は、5年前の2019年の9月に環境大臣として国連温暖化サミット出席のためにニューヨークに出張した際のものです。 そもそも、この「セクシー」という言い方は、クリスティーナ・フィゲレス氏というコスタリカの外交官の発言を引用しただけです。このフィゲレス氏というのは、パリ協定を主導した国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の事務局長だった人物です。また、この2019年の国連気候変動サミットの中心人物の1人でした。 責められるのは、そうした文脈を理解しないで表層的な報道をした当時のメディアです。小泉氏の立場としては、国連サミットに参加する

    「セクシー発言」など問題ではない、小泉進次郎が農業改革に失敗した過去をどう評価するか
  • コロナ後遺症ここまで分かった...「感染時は軽度」が90%以上、倦怠感から心不全まで影響は200以上

    <今年前半に出た報告書や科学論文によって、この複雑な慢性疾患の解明が進んだ。かかる確率は以前より下がったが、何年にもわたり複数の身体機能に健康影響を引き起こす可能性もあり、決して油断はできない> 2020年以降、新型コロナウイルスの後遺症は世界中で大きな問題になっている。何百万人もの人々の健康や生活の質(QOL)に影響を与えただけでなく、労働生産性や労働力全体の低下をもたらし、経済に数十億ドルの損失をもたらしてきた。 コロナ後遺症は科学的にもかなり注目されており、これまでに2万4000以上の論文が発表されている。人類史上、4年間でこれほどまでに集中的に研究が行われた健康状態は他に例を見ない。 SARS-CoV-2ウイルスへの感染によって引き起こされる、長期的な健康への影響の総称が新型コロナウイルス後遺症(long COVID)だ。 息切れなどの長期的な呼吸器症状から、衰弱性疲労やブレイン

    コロナ後遺症ここまで分かった...「感染時は軽度」が90%以上、倦怠感から心不全まで影響は200以上
  • 「未完の代名詞」サグラダ・ファミリアが工事開始から140年以上を経て完成へ

    6つの中央塔の最後の1つ「イエス・キリストの塔」は高さ172.5メートル。2026年の完成を目指してリープヘル社のクレーン2台が作業を続けている LIEBHERR <ガウディの描いた夢が最新技術の力でついに現実へと近づいている。完成時期の見込みと残された最後の課題とは?> 140年以上も建設が続いているスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア聖堂。その完成がついに視野に入ってきた。 カタルーニャの偉大な建築家アントニ・ガウディが設計したこの驚くべき聖堂(バシリカ)は、ゴシック様式とアールヌーボー様式を融合させたもので、地上で最も美しい建築物の1つとの呼び声も高い(イギリスの作家ジョージ・オーウェルは世界で最も醜いと評したことがあるが)。 現在は世界的建設機械大手リープヘル社製のクレーン2台を駆使して、完成予定の2026年に向けて順調に工事が進んでいる。 23年11月には4つの「福音書記者

    「未完の代名詞」サグラダ・ファミリアが工事開始から140年以上を経て完成へ
  • 「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーティストに全米が夢中──BAND-MAID/新しい学校のリーダーズ/YOASOBI/藤井風/XG

    アメリカ市場への参入に腰を入れてこなかった日音楽産業だが、配信サービスやTikTok、アニメ人気の流れに乗って躍進中。フェスにテレビ、ホワイトハウスに招かれるアーティストも> 日音楽産業は長いこと、アメリカに次いで世界第2位の規模を誇ってきた。しかし国で大成功を収めた日のミュージシャンがアメリカに進出しても、なかなか人気を獲得できずにいた。 韓国のKポップはアメリカで大成功を果たし、マンガやアニメをはじめとする日のほかのエンターテインメントもアメリカ人の間で大人気。そうした背景を考えると、日のミュージシャンは海外で成功するチャンスを逃してきたようにも思える。 そもそも、日音楽産業は今まで海外市場へのアプローチにあまり関心がなかった。アプローチしたとしても、アメリカのような大きな市場にインパクトを与えようと腰を入れてはいなかった。 アメリカ進出を目指すミュージシャン

    「ガラパゴス音楽」とは呼ばせない ...日本人アーティストに全米が夢中──BAND-MAID/新しい学校のリーダーズ/YOASOBI/藤井風/XG
  • 人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」

    暇空茜氏は都知事選に立候補し、一度も公に姿を表さないまま11万票を集めた(7月6日、東京銀座) Damon Coulter / SOPA Images via Reuters Connect <訴えられて損害賠償を命じられてもペイするというビジネスモデルの背後にいるのは誰か> 一昨年から始まる「不正会計」デマをきっかけとして、貧困やDVなどの困難を抱えた10代女性を支援する団体Colaboが様々な誹謗中傷を受けている問題で、7月18日、誹謗中傷のきっかけをつくった「暇空茜」を名乗る人物に対して損害賠償を求めた裁判で、暇空氏に220万円の賠償と投稿の削除を命じる判決が出た。昨年3月に出た、Colaboの会計に不正はなしとした東京都の監査結果と合わせて、暇空氏のデマによって女性支援団体の活動が妨害されたという事実が、公的に認められたことになる。 しかしこれで問題が決着したわけではない。暇空氏と

    人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」
    yukatti
    yukatti 2024/07/29
  • 免疫低下や癌リスクも...化学物質PFAS、手洗いなどで「肌から」体内に入り得ることが実験で明らかに

    <さまざまな日用品に使われているほか、大気中や水中にも存在し得るPFASは有害性が指摘されるが、さらに新たなリスクが浮上した> どこにでも存在する有害な化学物質PFASは、肌からでも私たちの体内に侵入する可能性がある。6月24日付の学術誌エンバイロンメント・インターナショナルで、英バーミンガム大学の研究者らがそう警告した。 PFASは人工的な有機フッ素化合物の総称で、トイレットペーパーから品包装、化粧品までのさまざまな日用品に使われている。容易に分解せず、長期にわたり環境に残留するため、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。 PFASは性質上、土中にも大気中にも水中にも存在し得る。アメリカ地質調査所の調べでは昨年、全米の水道水の半数近くで何らかのPFASが検出されている。 PFASを取り込むと血中コレステロールや血圧の上昇、免疫力や生殖機能の低下、ある種の癌のリスク増加などにつながることが知ら

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  • 能登半島地震から半年、メディアが伝えない被災者たちの悲痛な本音と非情な現実

    輪島市中心部には全壊した家屋や「五島屋」の7階建てビルがそのまま残されている KOSUKE OKAHARA FOR NEWSWEEK JAPAN <「テレビは表面的な報道ばかり」「集落は全滅と一緒です」「岸田さんは何をしとる?」過疎高齢化の集落で取り残された被災者の声を聞く> 今年の元日に発生した能登半島地震から半年、被災地以外の地域に暮らす人々の目に能登の現状はどう映っているだろうか。地震直後に3万4000人余りいた石川県の避難者は、旅館などへの2次避難を含めて2394人にまで減った(6月18日時点)。2月からは仮設住宅への入居も順次始まり、金沢などに散り散りになっていた住民がようやく故郷に戻り始めた――。 こうした断片的なニュースは、水も電気もなく命が危険にさらされていた災害直後の状態から考えれば、復旧・復興に向けた一つの真実ではある。だが震度7が観測された輪島市を歩けば、半年もたつの

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  • ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオススメしません

    <ここ2~3年、ブームになっている「ガチ中華」。店員に日語も通じない「場の中華料理」とのことだが、中国人にも、日人にも、私は警鐘を鳴らしたい> 日の「ガチ中華」ブームに違和感を覚えている。この言葉、2022年の新語・流行語大賞にノミネートされ、ここ2~3年で広く知られるようになった。 半ばチャイナタウン化している池袋には、そのガチ中華のフードコートが3つもある。「いつかべてみたい!」「友人に連れて行ってもらい、ガチ中華デビューした」、そんな日人も増えているようだ。 でも正直、いわゆるガチ中華を私はおすすめしない。 ガチ中華は、一般には「日人の好みに合わせて作られたものではなく、中国人が実際にべている場の中華料理」を指すとされる。炒飯(チャーハン)や餃子(ギョーザ)、ラーメンなどが中心の「町中華」と対になる概念、なんて説明もある。 実際に行ったことのある人なら分かると思うが

    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオススメしません
  • 撲滅まであと一歩だったのに...ワクチン否定派に、元ポリオ患者の私が感じる怒り

    3歳からバイオリンを始めたパールマンはポリオにかかり足に障害が残った後も夢を諦めず、世界的な奏者になった JAMES DEVANEYーWIREIMAGE/GETTY IMAGES <4歳でかかった小児麻痺により足に残った障害を乗り越え、世界最高峰バイオリニストとなった筆者が、いま憤るポリオ再流行とワクチン忌避> 1949年、4歳のとき私はポリオにかかった。最初のポリオワクチンが発表されたのは55年だったから、数年の差で間に合わなかった。ある朝、目が覚めて起き上がろうとしたけれど、立てなかった。何かおかしいと思った。ベッドに寝たまま、窓の外の太陽を見ていたことを覚えている。毎日、毎日、同じ景色だった。腰椎穿剌(せんし)の検査がとにかく痛かった。 【動画】松葉づえで登場し、名演奏を披露するイツァーク・パールマン 当時暮らしていたイスラエルのテルアビブで入院したのは数週間だったが、それを境に人生

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  • イスラエルに根付く「被害者意識」は、なぜ国際社会と大きくかけ離れているのか?

    <社会に内在化されている集団心理の原因、それを支える「社会装置」について。また、イスラエルに対して「親」や「反」で国際社会が分断しないためにすべきこととは> イスラム組織ハマスによる奇襲攻撃によって、イスラエル社会に共有される根深い「被害者意識」が改めて浮き彫りとなった。 ポーランドの片田舎に人目を避けるように建設されたアウシュビッツの収容施設に立ち入れば、当時ユダヤ人が感じたとてつもない恐怖を強制的に想像させられる。ホロコーストは紛れもない事実であり、虐殺されたとされる600万人というユダヤ人犠牲者の規模はわれわれの想像をはるかに上回る。 国家としてのイスラエルには、この「恐怖」が深く根付く。5月5日、ホロコースト追悼祈念日「ヨム・ハショア」に向けて、イスラエル軍のハレビ参謀総長は声明を出した。 「われわれを滅ぼそうとする凶悪な敵に押し付けられた戦争で、突然終わった全ての命。しかし、今回

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  • アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)とは

    <昨今のいわゆるウォーキズム(日の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題だ。ようやく米国の右派が、左派と勝負できるだけのナラティヴを手に入れつつある......> 米国で「贅沢品としての信念」(luxury beliefs)という概念が話題になっている。元は2019年ごろににちょっと話題になったらしいのだが、私は見逃していた。それが提唱者のロブ・ヘンダーソンが最近自伝「Troubled」を出したこともあって見直され、昨今のいわゆるウォーキズム(日の文脈に合わせると意識高い系とでも訳すべきか)へのカウンターとして持ち出されているようだ。 ヘンダーソンの顔を見ると分かると思うが、ヘンダーソンという欧米系の姓の印象に反して、彼はアジア系米国人である。彼の母親は韓国からカリフォルニアに渡り、大学を中

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  • 「同性婚を認めると結婚制度が壊れる」は嘘、なんと男女間の結婚まで増えた──米国調査

    同性婚の合法化後、婚姻率は全体的に上昇し、養子縁組も増加した。最新調査で分かった同性婚合法化による好影響の数々> 同性婚結婚という制度にダメージを与えるのか。「結婚の平等」反対派の懸念とは裏腹に、同性婚を合法化しても異性間の婚姻に悪影響はないことが明らかになった。 米シンクタンク、ランド研究所とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)は5月中旬、新たな研究報告書を発表。同性婚の法制化は異性カップルの婚姻率や離婚率に影響を与えないばかりか、全体的な婚姻率の上昇につながっているという。 好影響はまだある。LGBTQ+(全ての性的少数者)の身体的健康の向上やヘイトクライムの減少、婚姻カップルによる養子縁組率の上昇だ。 「同性カップルの結婚の権利を認めれば、結婚制度が弱体化し、婚姻件数の減少や離婚件数の増加、家族形成の回避を招くと、反対派は予想していた」。報告書の共著者であり、UCLA社会

    「同性婚を認めると結婚制度が壊れる」は嘘、なんと男女間の結婚まで増えた──米国調査
  • 中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日本に続々、本当の日中友好は逃亡者がつくる

    中国で活動停止中のシンガー・ソングライターが最近、日で開いたコンサートが在日中国人の間で話題になった。古来、中国の体制転換期には文化人やエリートが日に逃れ、高度な技術や知識を持ち込んできた。現在の様子は昔の王朝交代の時ととても似ている> 近頃、在日中国人のSNS上で最も騒がれた話題は中国のシンガー・ソングライター李志(リー・ジー)の日ツアーだ。 1978年、江蘇省常州市に生まれ、今は南京に住む李志は、2004 年にデビュー曲「禁じられた遊び(被禁忌的遊戯)」で注目された。日常的な生活や社会をありのまま表現し、天安門事件を歌った「広場」や、独裁政権の下で思考停止した社会を皮肉る「人民は自由を必要としない(人民不需要自由)」を発表。2019年に「品行が方正でない」という理由で公式サイトや個人アカウントが中国ネット上から消え、CD棚からも撤去された。 中国国内で音楽活動がほぼ停止させられ

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日本に続々、本当の日中友好は逃亡者がつくる
    yukatti
    yukatti 2024/05/20