前々回と前回に説明したように、新しい会社法では大会社・委員会設置会社の経営陣に内部統制システムの体制決定を義務付けている。これらの会社では、2006年5月に入って最初の取締役会で構築の基本方針を決定する必要がある。今回は、なぜ決定義務が定められたのか、金融商品取引法案の内部統制との関係、について説明する。 会社法に内部統制システム決定義務が規定された理由 なぜ会社法に内部統制システム決定義務について定めが置かれたのか。この問題は法律専門家にとっても分かりにくい。 会社法の立法担当者によると、会社から経営を委ねられた経営陣が負うべき善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)(会社法330条、民法644条)・忠実義務(会社法355条)がベースになっているものと説明されている。したがって、その内容を分析するためには、これに関連した過去の訴訟事件を振り返ることが有用となる。以下では、主要な訴訟事件を