ユキコはまじめな女の子だった。わたしたちは中学生で、同じ塾に通っていた。保護者が熱心に勉強させている家庭の子が行くたぐいの塾で、入塾試験が難しいと評判だった。わたしは間違って入ってしまったみたいな感じで、いつもびりに近かった。ユキコは精鋭の中にあって上位25%のクラスにずっといる成績優秀な子どもだった。 ユキコはきれいな女の子だった。ひょろひょろと背ばかり伸びて、中学一年生としても幼い印象だったけれど、細面の整った顔だちで、所作が端正だった。毎朝きっちり編んだ三つ編みを崩すことなく、塾の入り口のベンチで親の迎えを待っているときにも背筋がぴんと伸びているのだった。 わたしとユキコはクラスがちがったけれど、親の迎えがときどき遅れることは共通していた。塾の入り口にはそうした子どもたちを想定してか、いくつかのベンチがあり、わたしたちはそこで仲良くなった。ベンチのそばには紙カップが出てくるタイプの自