特定の行動や与えられた役割を自分自身が実行できると考えている度合いは、「自己効力感」と呼ばれる概念です。実務の領域でも広く認知されている概念の1つですが、学術研究における注目度も高く、古くから研究が行われてきただけでなく、近年になっても新しい論文が次々と発表されています。 こうした注目度の高さは、個人の心理的な特徴でありながら、様々な行動や組織的な成果、あるいはその弊害もあることなど、影響が多岐にわたるからだといえるでしょう。 本コラムでは、自己効力感に関する学術研究を紹介することで、その理解を深めると共に、自他の自己効力感を高めるための支援策や、自己効力感の高い従業員を活かすマネジメント方法について解説します。 1章:学術研究における「自己効力感」 研究上の定義と注目するポイント 初めに、自己効力感の研究上の定義を確認します。日常生活や実務上の認識としては、自己効力感は、いわゆる「自信」