小川一水さんの『天冥の標III』では、IIから再び時代が流れて24世紀の太陽系が舞台となっている。 さまざまな謎がしだいに明らかになっていくのだが、今回はそのへんのネタバレはおいておいて、宇宙戦闘について語っていきたい。 リアルさを演出に取り込んだ宇宙戦闘といえば、日本では谷甲州さんの『航空宇宙軍史』シリーズがまずあげられる。合わせて林譲治さん(『機動戦士ガンダム MS IGLOO』など)や、笹本祐一さん(『ミニスカ宇宙海賊』など)、佐藤大輔さん(『地球連邦の興亡』など)らの作品も、おすすめしたい。 リアルっぽい宇宙戦闘の最大の特徴であり、困難な点は、相対距離と相対速度、そして、その結果から導かれる戦闘の流れである。 宇宙空間では互いの距離が数千キロメートルとか、数万キロメートルという、地上ではまず考えられない距離になるため、どうやってまず、戦闘距離まで近づくかが問題になる。 続いて