特集 [81 女学生の集団自決(1)]「太陽見て死にたい」2010年3月2日 やみ夜に「ふるさと」の歌 波が打ち寄せる絶壁の上で、輪になって座っていた女性とたちはしくしく泣き出した。深夜だった。「もう一回、太陽の下を大手を振って歩いてから死にたいね」。輪の中の1人がそうつぶやくと、まもなくだれからともなく「ふるさと」の歌が始まった。 すすり泣きが聞こえる。みんな精いっぱい歌っているつもりだが、思うように声にならない。暗くてお互いの顔もはっきりと見えない。が、涙がとめどなくあふれ出ていることだけは確かだった。 「あの晩のみんなの声がいつまでたっても忘れられません」。翌日起きた悪夢の集団自決を、思いもよらないことから免れた宮城(旧姓)喜久子さん(56)=那覇市首里儀保=は、無残な最期を遂げた仲間たちのことを思い出して声を落とした。 昭和20年6月19日、米軍の猛攻撃に追われて宮城さん