たいして関心もないはずなのに、心の奥に妙な何かを訴えるニュースだったと記憶している。1997年、チェスの世界王者ガルリ・カスパロフ(ロシア)がIBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」に1勝2敗3分で敗れた。以来、我々には大きな命題が残された。「人は機械に劣るのか」と。 時は流れて現代。コンピューターの進化の猛威にさらされているのは将棋である。2010年、女流棋界の頂点に四半世紀にわたって君臨してきた清水市代女流王将(当時)が「あから2010」に敗れ、昨年は引退棋士の米長邦雄永世棋聖が「ボンクラーズ」の前に屈している。いずれも「現役の男性棋士ならば」という逃げ口上を用意することは可能だったが、3月23日から5週にわたって開催される「第2回電王戦」5番勝負では、各世代を代表する5人の棋士がコンピューターソフトの挑戦を受ける。もう言い訳の通用しないところまで来ているのだ。 先日の直前会見