稲嶺県政誕生裏面史(1) 太田昌秀沖縄県知事が政府と対峙していた1998年知事選挙で、官邸と自民党は大田県政打倒に動いていた。稲嶺恵一氏を知事に当選させるためにプロパガンダ作戦に出た。 当時の政府当局者の極秘文書が私の手元にある。その内容は①高失業率と閉塞感に包まれた沖縄の現状を打破し、県政不況の暗いムードから脱却し、稲嶺県政を樹立する。②思考と行動は感情に勝る。沖縄は意欲が必要だ。現実の社会、経済を、いま改革しなければ沖縄の未来はない。③21世紀の新しい方向を探る知事選で県民は立ち上がろう。閉塞感を打破しよう─というのが主な内容だ。 総理官邸と自民党は、基地反対を貫き政府に抵抗する大田知事が邪魔だったのだろう。基地問題の対応を巡り、政府と断絶をきたし、沖縄振興策が凍結したのだ。基地と振興策はリンクしていたのである。1998年の知事選は、大田県政の信任を問うものだった。官邸は21世紀の沖縄