■要旨 1997年のアジア経済危機以降、韓国社会では貧困と所得格差が社会的問題として浮上した。さらに、最近は新型コロナによるパンデミックが格差拡大の新しい要因になっている。 2018年における韓国の相対的貧困率(世帯所得が中央値の半分を下回っている人の割合、以下「貧困率」)は16.7%で2018年のデータが利用できるOECD平均の11.7%を大きく上回り、加盟国の中で5番目に高い数値を記録した。 統計庁の「家計金融福祉調査」による再分配所得ジニ係数は、2016年の0.355から2020年には0.331に大きく改善された。しかし、同期間における当初所得ジニ係数 は0.402から0.405に上昇している。 フランスの経済学者トマ・ピケティ氏らが参加している「世界不平等研究所(World Inequality Lab)」が発表した「世界不平等報告書2022(World Inequality Re
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