プラトンに関する十一章 アラン/森進一 訳 1988年8月20日発行 筑摩書房刊 238ページ 「筑摩叢書 326」 目次 第一章 ソクラテス 第二章 プロタゴラス 第三章 パルメニデス 第四章 イデア 第五章 洞窟 第六章 ティマイオス 第七章 アルキビアデス 第八章 カリクレス 第九章 ギュゲス 第十章 袋 第十一章 エル <付>アリストテレスについてのノート ソクラテスの死のドラマ プラトンを読むということは、不思議な体験だ。プラトンの対話篇は、精緻な論理の積み重ねでわたしたちを魅惑してやまない。しかし、言葉の集積で構築された論理からは、なにかしら論理に対する不信感のようなものが立ち上ってきてはいないだろうか。 全集第1巻には、ソクラテスにたいしてなされた告発と刑死にかかわる一連の出来事を描いた4篇の対話が収録されている。『エウテュプロン』『ソクラテスの弁明』『クリトン』『パイドン』
陰鬱な美青年 ジュリアン・グラック/小佐井伸二訳 1970年7月25日発行 筑摩書房刊 262ページ 1960年代末ころから、大手出版社がいっせいに海外文学の翻訳を刊行し始めた。それまで、海外文学と言えば、岩波文庫や新潮文庫などの評価の定まった古典作品が主流だったが、このころになると、日本にまだ未紹介の海外作家の作品が矢継ぎ早に翻訳される。白水社の「現代の世界文学」シリーズや河出書房新社の「モダン・クラシックス」シリーズなどが多くの点数を刊行した。そんななかで、刊行点数は少なかったが、作品のチョイスで質の高かったのが、筑摩書房のシリーズ。ただ、その高尚さが災いしたのか、売れ行きが芳しくはなかったらしい。多くは少部数の初版を売り尽くすと絶版になってしまった。数年もたつと、当時ですらもはや古書店でもめったに見かけることはなくなった。なかでも、この『陰鬱な美青年』は人気が高かった。集英社から刊行
先に書いたように、肺炎を併発して死線をさまよっているさなかに、日本文藝家協会から封書が届き、開けてみると、「推薦入会のお勧め」だった。人生、楽あれば苦あり、苦あれば楽ありという。してみると、これは「楽」のほうなのだろうか。文面を読むと、「推薦入会」という制度に則って会員2名(うち1名は理事)の方の推薦があったとのこと。ということは、私も文筆家の端くれとして認められたということだ。素直に喜んでいいのだろう。生きていてよかった、とつくづく思う。まだまだ訳したい本はたくさんある。 私は肝臓ガンを患っている。ガンが見つかったのは、2011年に「首斬り人の娘」シリーズの1作目を上梓後、小説の舞台である南ドイツのショーンガウなどをドライブ旅行(これについてはすでに書いた)して帰って来た暮れのことだった。すぐに検査入院(入院先は東京女子医大病院、ここは消化器内科外科ともに肝臓病の専門医が揃っている)とな
In Pictures: The Taksim Square Book ClubProtesters stand silently and read books in central Istanbul, in stark contrast with scenes of violence. A woman reads the philosophical essay The Myth of Sisyphus by French author Albert Camus in Taksim Square. The book focuses on the search for meaning in the absence of God. Istanbul, Turkey – After weeks of violent clashes between police and protesters ac
本日、とうとうゲットしました!各所で話題沸騰中の、平岡さんの新刊『南蛮系宇宙論の原典的研究』を!ぱらぱらとみてみたのですが、これはもう素晴らしいの一言につきますね。日本側の史料だけでなく、欧州の史料も渉猟し、キリシタン時代の宇宙論を総合的に描き出そうとするこの試みは、江戸時代科学史にとっても、初期近代ヨーロッパの思想史にとっても間違いなく大きなインパクトを与えるものだと思います。 本書の前半部は思想史的な手法で南蛮系宇宙論の精読を、後半部は文献学的な手法でそういったテクストの流通を分析しており、いやぁ、なんでこんなにも器用に分析できるのかと。ホント、すごいですね。同じ江戸時代の科学史(僕は医学史ですが)を志すものとして、僕もいつかこのような研究書を書いてみたいものです(笑)。なお、石版さんのブログで既に前半部の論文(こちらの初出となった論文ですが)が紹介されていますので、以下では後半部の章
平岡隆二さんの名前を初めて知ったのは『ミクロコスモス』に収録されている「画家コペルニクスと「宇宙のシンメトリア」の概念 ルネサンスの芸術理論と宇宙論のはざまで」という論文を読んでからでした。現在、平岡さんは長崎歴史文化博物館の主任研究員をされており、研究領域は「欧・日・中を中心とする東西交流の観点から見た科学と思想の歴史」とあります。最近になって南蛮芸術に興味を持ちはじめたのはこの研究業績に触れたからでもあります。本日は平岡さんの論文「イエズス会の日本布教戦略と宇宙論 好奇と理性、デウスの存在証明、パライソの場所」(書誌情報やダウンロードはこちら)を読んだのでそのご紹介(なお、さん付けで呼んでいますが面識はありません)。もうタイトルからして面白そうな雰囲気が漂っていてすごいですね。 十六世紀後半にイエズス会宣教師が来日し、熱心に布教をおこなったこと、その中心人物としてフランシスコ・ザビエル
読書会のレジュメとして、ブレア『あまりに多くて知ることが出来ない』の「第1章 情報を取り扱うことの比較史」という章をまとめました。なお、読書会の詳細は下記から。 http://d.hatena.ne.jp/hskomaba/20120628 Ann M. Blair, "Information Management in Comparative Perspectives," Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age, New Haven & London: Yale University Press, 2010, pp. 11-61. Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age 作者: Ann
『現代東欧文学全集01』 Tr:松永緑弥/他 Pb:恒文社(KobunSha) 1967 「英雄と詩人の国ブルガリア」 松永緑弥/矢代和夫 「ノンカの愛」 イヴァイロ・ペトロフTr:松永緑弥 「愛の終り」 カルチフTr:矢代和夫 「桃泥棒」 スターネフTr:松永緑弥 「わたしの作品論」 阿部知二 『現代東欧文学全集02』 Tr:秋山健 Pb:恒文社(KobunSha) 1967 「カザンザキスの人と文学」 森安達也 「その男ゾルバ」 カザンザキスTr:秋山健 「わたしの作品論」 小田実 『現代東欧文学全集03』 Tr:羽仁協子/他 Pb:恒文社(KobunSha) 1966 「現代ハンガリーとその文学」 徳永康元/羽仁協子 「くず鉄墓場」 フェイェシTr:羽仁協子 「ブダペストに春がきた」 カリンティ・フリジェシュ(Frigyes Karinthy) 「私の解放された日々」 エルデーシュT
* 空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫) 作者: 寮美千子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/28メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (9件) を見る* 快著『ドバラダ門』に書かれてあるように、ジャズピアニスト山下洋輔の祖父は建築家だった。奈良にある、ボスフォラス以東唯一(かもしれない)ロマネスク様式の少年刑務所も、その山下啓次郎氏の設計によるものだ。イギリスのマンチェスター刑務所とまったく一緒の造りだという。明治四十一年にできた建物がいまだにそのまま使われていて、中には冷房も暖房もない。 そしてヴィクトリア朝時代の監獄様式にのっとり、放射状に配列された監房の中心には中央監視塔がある。ここに立てばどの監房も一望のもとに見渡せる。早い話がパノプティコンだ。 * この刑務所では、他のものとなじめない受刑者のために、「社会性涵養
「モーパッサンを巡って」へようこそ! 当サイトでは、フランスの作家ギィ・ド・モーパッサン (1850-1893) の作品を紹介し、翻訳を掲載しています。 本邦初訳も多数あります。ぜひ、知られざるモーパッサンの世界をご堪能ください。 『対訳 フランス語で読むモーパッサンの怪談』(白水社)、2023年7月刊行! (2023.07.26) じんぶん堂でご紹介頂きました! 「フランス語で「納涼」するなら モーパッサンの怪談」 アンリ・トロワイヤ『モーパッサン伝』(水声社)、2023年3月刊行! (2023.03.15) 論文「見えないものを見る――モーパッサンの幻想小説」(STELLA 第41号)公開。(2023.01.19) Dessins 2「デッサン集2」 (2015.04.02) Dessins 1「デッサン集1」 (2009.12.08) 翻訳 モーパッサン (Traductions)
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