大隅 考えれば、都市を見てみても、建設ばかりがあるわけではないですよね。作っては壊し、という作業です。先ほど、「時間軸をしっかり捉える」という話が出ましたが、そうした意識から出てくる発想なのかもしれません。 中島 時間の「円環」というんでしょうか。 大隅 それも見方によっては、社会の「時代性」と共振しているのかもしれません。これまで、社会が「役に立つ」もの、すなわち新しいものを作ることにものすごく目を向けてきた時代が続いてきましたが、作るだけでは社会は成り立たないという発想が出てきたということです。たぶん原発なんかはそうですよね。 あるものを作って、壊すときに何が負荷としてのしかかってくるか、壊すときの原理もわかっていないものを作っていいはずがない、という感覚です。そういう意味では、経済優先で発展して、GDPが増えていくことだけが社会発展だとなると、どうしても「合成」つまり建設の方に目が向
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