安藤道人 立教大学経済学部 教授 2025.2.3 Version 1 要約本記事では、高額療養費制度の上限額引き上げ問題について、家計への影響を試算するとともに、政策決定過程を検証した。高額療養費制度は、一定額を超えた医療費の自己負担を軽減する仕組みであり、政府は2027年までに段階的な上限額の引き上げを決定している。試算結果に基づくと、特に中所得層以上の自己負担額が大幅に増加し、手取り所得に占める医療費の割合が顕著に上昇する世帯が増える可能性が高い。さらに、治療中の収入減少を考慮すると、より多くの患者が手取り所得の相当部分を医療費に充てざるを得ない状況に陥る可能性がある。さらに、政策決定の過程は拙速であり、実質的な議論が行われないまま、患者の声が反映されることなく進められた。また、政府が示す改革案の「考え方」も不明瞭であり、十分な説明責任を果たしていない。本改革案は凍結し、家計破綻を防
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