タグ

ブックマーク / blogs.itmedia.co.jp/natsume (81)

  • 『魔法少女まどかマギカ』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    アニメ『魔法少女まどかマギカ』全回を観てみました。 面白かった。「魔法少女」物そのものをロクに知らないけれども、構造がそのジャンルのパロディというか、メタ物になっているのはわかる。メタ物にするときの、一種の「悪意」も効果的だし、同時にそれを最後にまとめる力技もなかなかだと思う。そもそも、メタにすると、来的に話は終わらないし、まとまらないのがホントなのね。ほぼ、宗教宇宙観になってますが(「セカイ系」というより「ウチュー系」?)、ギリまとめましたってとこもイイです。 また、魔女世界を描くときのアニメーション映像も実験的でなかなか面白い。 とはいえ、個人的にはこのキャラ・デザインでなかったら、もっと入れたとは思う。好み的にダメな系統なんですね。それと「私なんて」っていう女の子(男の子でも同じか)が実は・・・・っていう話そのものが、イライラしちゃってダメってとこもある。多分、僕自身が十代にそうい

    『魔法少女まどかマギカ』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 『ビッグコミック創刊物語』文庫化に解説:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    滝田誠一郎『ビッグコミック創刊物語』が祥伝社文庫になった。文庫版では、図版や情報も増えているらしい。これはありがたい。 滝田さんからぜひにということで、僕がブログに書いた文章を解説に入れることになった。が、読み直してみると、そのまま文庫解説にするには舌足らずな感じがして、書き直した。一般読者にはわかりにくいとも思ったし。「マンガ」と「劇画」の流れの統合という観点から、それを娯楽読物として確立してゆく雑誌として「ビッグコミック」創刊を評価するという基線は同じ。著者から望まれて解説を書かせていただくのは、ほんとにうれしい。

    『ビッグコミック創刊物語』文庫化に解説:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2012/07/21
  • ライアンさんの講演終了:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    ライアン・ホームバーグさんの講演が終了した。 会場には、小野耕世さんをはじめ、小田切博氏、藤由香里さん、椎名ゆかりさん、岩下戸朋世氏、FMロッカーさんなど、顔なじみの研究者の方々のほか、一般の方もこられ、こうした講演としては盛況でした。40~50人はいたような気がするが、数えるのを忘れました。 ライアン氏の発表は、おもに『新宝島』を中心に、戦前に手塚がパテベビー映写機で見たであろうディズニーなどのアニメだけではなく、むしろ戦後、ディズニーのコミックスの影響が強くあったのでは、ということを両者の図版を多く見せて展開された。『オヤヂの宝島』から『新宝島』にいたる中で、行為の分節が細分化されていて、そこにアメコミでも珍しい、ドナルド・ダック物コミックの同様の表現を比較したところは、のちの手塚マンガの試みを考えると興味深かった。そのコミック「Donald Duck Find Pirate Gol

    ライアンさんの講演終了:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2012/07/12
  • 『からだの文化』ついに刊行!:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    えらくお待たせしましたが、やっと出ました。 が、じつはまだ仕事場に行けてないので、見てません。 というわけで、執筆者の一人、師(もろ)茂樹さんの報告を、とりあえず見てください。 http://moroshigeki.hateblo.jp/entry/2012/07/05/191005 追申 内容は以下の通り。 『からだの文化 -修行と身体像-』五曜書房 2000円+税 佐伯隆幸「発刊に寄せて ―さらなる試みの継続を―」 夏目房之介「まえがき 「からだの文化」って何だろう?」 ゝ     「マンガにおける修行イメージの伝承」 師茂樹「修行マニュアルを読む―『天台小止観』を中心に」 李保華・野村英登「馬貴派八卦掌と易筋経」 大地宏子「日近代のピアノ教育における身体イメージ」 野村英登「丹田で歩く―身体イメージがつなげる哲学、信仰、養生、芸能」 山田せつ子「からだを見つける―ダンスが見つかる」

    『からだの文化』ついに刊行!:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2012/07/06
  • 山本陽子『絵巻の図像学 「絵そらごと」の表現と発想』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    陽子『絵巻の図像学 「絵そらごと」の表現と発想』(勉誠出版)を送っていただいた。 これは、とてもありがたいである。まず、絵巻物のさまざまな問題の検証。第一部の「僧の声-絵巻の声の線の性格と起源について-」は、人間や動物から出る声と思われる線について、その種類、分類、変遷過程、そして声明の楽譜の線からの類推など、興味深い表現要素を、まるで推理小説のように解きながら追ってゆく。論文として、とても整っていて、うちの修士に、これをマネしてほしいと配ったほど。けして難しい言葉もカッコイイ言葉も使わず、でもきちんと結論を出す。 また絵巻の詞書とは別に、絵の中に文字が書かれるようになる画中詞の問題を追った論文は、絵と文の関係について考えさせてくれる。『鳥獣戯画』の弓を、進行方向の右から左へではなく、逆方向に描いたのはなぜかを考える文章も、視線と、絵を楽しむということを示唆する。山氏の論文には、「

    山本陽子『絵巻の図像学 「絵そらごと」の表現と発想』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2012/06/25
  • 『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    デヴィッド・ハジュー『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』(小野耕世、中山ゆかり訳 岩波書店)読了。素晴らしいです。460p2段組の分厚いなのに、次が知りたいのでページを繰るうちに読み終えてしまった。 地道な取材、インタビュー、当時の記事などを積み重ね、具体的に何が起き、誰が何を思い、話したかが、きちんと書かれているので、今まで漠然としていた50年代にアメコミをほぼ壊滅させてしまった(そのため、少なくともその直後にはスーパー・ヒーローのみが残った)バッシングの経緯がイメージできる。 取材の中心はコミックブックを制作した側、経営者、編集者、アーティストたちだが、バッシングした側(心理学者、政治家、ジャーナリスト、母親など)、その当時はほとんど発言の機会のなかった読者たち、あるいは読者ですらなかったが、焚書運動に参加した者たちの言説まで紹介し、その事態を多角的に描写し

    『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 内記稔夫さんが亡くなった:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    「現代マンガ図書館」を作られ、私費で貸を中心に膨大なマンガを保存整理され、日のマンガ研究に大きな貢献をされてきた内記稔夫さんが亡くなられた。 内記さんは、江戸っ子らしい気風の素敵な方だった。よく会場を手配してくれたマンガ史研究会では、いつも分け隔てない態度で若い人たちにも接し、気さくに何でも話してくれた。長い間、私財を投じてアーカイブを支えてこられた彼に手塚特別賞が贈られたときは、当に嬉しかった。でも、そのスピーチでも窮状を訴えられていたのが記憶に残る。もともとブックオフを狙った「著作権を考える会」の運動が失敗し、ついでみたいに一定程度の蔵を持つ貸し業に課金することになったときも怒っておられた。私設図書館は、貸屋さんなのだ。マンガ出版社は、恩人に仇で返すマネをしたといわれても仕方がない。あの時は休業することになった生き残りの貸屋がずいぶん出ただろう。悔しかったと思う。 いや、

    内記稔夫さんが亡くなった:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • NHKスペシャル「オウム真理教」:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    http://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/file002/ 土日にかけて全3回、ドキュメンタリーとドラマで構成された番組。驚いたのは、教団内の膨大な極秘録音テープまでが使われていたこと。番組内でもいってたが、よく押収されなかったものだ。これによって、浅原が教団設立当初から宗教国家の建設(=国家権力の奪取 番組内では武装化としていたが、出された情報だけではそこまでかどうか)を想定していたとされる。また教団設立以前からの幹部や、上祐が証言し、さらに3回目では警察の捜査状況が取材によって明らかになってゆく。 興味深かったのは全編ドキュメンタリーの3回目で、これを観ればほかはいいかもしれないぐらい。警察が各県警単位で、部分的にはオウムのサリン製造に迫っていたこと。しかし、県警上層部も警察庁も慎重な態度をとり、結局サリン散布が起きてしまう過程を追う。とくに松サリン事件で、県警

    NHKスペシャル「オウム真理教」:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • BDとマンガ(マンガ・エロティック エフ):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    「マンガ・エロティック エフ」(太田出版 Vol.75)に、BD原作者ジャン=ダヴィッド・モルヴァンの原案で、中国の作家ジェイ・リュウがマンガを担当した「嫌われ役」という短編がある。その短編のあとのインタビューに面白いBDとマンガの比較論があった。原正人翻訳になるインタビューの中で、ジャン=ダヴィッド・モルヴァンはBDとマンガのスタイルの違いについて尋ねられて、こんな風に答えている。 〈BDの作家はどちらかというと「物語」を語ろうとする傾向が強いんです。それに対して、日のマンガの作り方は、「登場人物」にずっとフィーチャーしているというか、そこに焦点をあわせようとする。だから登場人物を豊かにしようとする傾向があると思うんですが、その辺が大きな違いじゃないでしょうか。[略]もちろんBDの場合もキャラは重要なんですよ。ただ、日のやり方とは違ったやり方でキャラを使います。BDの場合はキャラクタ

    BDとマンガ(マンガ・エロティック エフ):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 斉藤次郎『共犯の回路』(73年):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    斉藤次郎『共犯の回路 ロック×劇画 可能性のコミュニケーション』(ブロンズ社 73年)。先日来書いているアメコミのDVDや『底辺絵巻の画工たち』などと一緒にアマゾンで購入した。 いやはや、当時のマンガ言説の特色を色濃く見せていて、読んでおくべきだった。斉藤次郎は、COM誌でのマンガ評や「まんがコミュニケーション」紙(斉藤の主催したミニコミ)で知ってはいたし、読んでもいたが、当時それほど興味を持たなかった。が、じつは後の「私語り」マンガ論(村上知彦、米澤義博ら)に大きな影響を与えているはずだ。何度も出てくる〈・・・・と僕は思う。〉という言い回しなど、村上春樹も含めて影響があるんじゃなかろうか(もちろん他に先行例があるかもしれない)。 このは、斉藤が70~72年に書いた批評文を集めたもので、ロックとマンガ(劇画)をおもに対象にしている。収められた文章のタイトルをざっと見るだけで、時代を感じ

    斉藤次郎『共犯の回路』(73年):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 佐藤秀峰『漫画貧乏』(PHP):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    『ブラックジャックによろしく』『特攻の島』の佐藤秀峰が、雑誌連載では赤字になる状況の中で原稿料の不合理に疑問を感じ、出版社との交渉を繰り返し、ついに紙媒体の泥舟的先行きに悩み、自作を含むマンガの配信サイト「漫画 on Web」を立ち上げていくまでの悪戦苦闘を書いた。 http://mangaonweb.com/creatorTop.do?cn=1 こうした問題は、すでに竹熊健太郎がある程度まで単行で追求しているが、佐藤の原稿料、印税収入と支出の関係の記述はさらに詳細で、それ自体、ほとんど外に知られることのない貴重な資料である。たんなる感情論ではなく、きちんとした収支の数字と、それにもとづいた交渉および出版社の対応を描いている。これは、現在のマンガ製作現場を考えるとき、重要な資料になりうるだろう。もちろん佐藤個人の経験ではあるが、少なくとも彼や、彼より過酷な状況にいるマンガ家、プロダクシ

    佐藤秀峰『漫画貧乏』(PHP):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 今期最後の講義のレジュメ:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    今期最後の講義は、試験のことと、見せられなかった視覚資料、「まんがビデオ」の紹介、絵巻物とスクロールして読むことの面白さを、映像と実物投影機で行った。そのあと、いくつか質問を受け付けた。以下は、配布したレジュメ。 2011年度 現代マンガ学講義(5)  夏目房之介 1)期末試験について (削除) 2)参考文献 講義で話したことを、さらに知りたい人は、以下のようなが参考になると思います。このリストは、大学院の夏目ゼミで必須文献としてあげるものを元にしてあります。 マンガ表現論 ○四方田犬彦『漫画原論』筑摩書房 1994 →ちくま文庫 1999 ○大塚英志『アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題』徳間書店 2003 →角川文庫 ○スコット・マクラウド『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論』美術出版社 1998 ○伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ』NTT出版 

    今期最後の講義のレジュメ:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2012/01/14
  • ウィル・アイズナー作品の翻訳を:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    ウィル・アイズナー(Will Eisner 1927~2005)は、米国でもっとも重要なコミック作家のひとりとみなされているという。マンガを使ってマンガの手法などを解析するも出しており、かつコミック・スタジオの主催など企業家でもあり、アイズナー賞が設定されるような著名な人物である。スコット・マクラウド『マンガ学 マンガによるマンガのためのマンガ理論 Understanding Comics The invisible Art』では、マンガ(Comics)の定義として、まずウィルの「Sequential Art(連続的芸術)」を参照して始めている。 僕は小野耕世さんの著作で間接的に彼のことを知る程度だが、それでも重要な作家であることはわかる。でも、日では実地に彼の凄さを見ることはできない。うちの客員研究員として米国から来ているライアン氏のおかげで、最近、身体表象の図書にアメコミ関連が充実

    ウィル・アイズナー作品の翻訳を:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2011/12/30
  • 談志さん、逝く:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111124-00000010-sph-ent 立川談志さんが亡くなった。 米澤図書館でのイベントの後の打ち上げ会で知って、びっくりした。 僕は、中学のときに談志さんの『現代落語論』(三一書房)という新書で、あらためて落語に「入門」し、それから落語好きになった。志ん生、文楽を知ったのも、そのだった気がする。 談志さんの噺は、若い頃、スピード感があって、まるで筒井康隆の小説をジャズを聴くようだった。天才肌で、調子のいいときと悪いときの落差が激しく、ときに枕といっていいのかどうかわからないグチだけで終わることさえあった。でも、ノルと凄まじい力で噺の中に客を引き込み、客席全部が咳払いも聞こえない、シンとした静寂に包まれることがあった。客が談志という噺家の所作と声に集中しきっていた。一人会に通っていた頃を思い出す。 談志さん

    談志さん、逝く:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2011/12/11
  • 青虫合宿2011(1)「青虫」応援と只見観光:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    2011「昭和漫画館青虫」合宿 http://www16.plala.or.jp/aomusi-0064/ 1)「青虫」応援と只見観光 福島県でも新潟に近い山奥にある只見は、東日大地震では無事だったものの、夏の洪水で被害を受けた。かの「昭和漫画館青虫」も、もう少しで冠水するところだった。目の前の用水路も、一見変わりないようだが、コンクリの護岸が壊れていた。何よりも只見線の鉄橋が落ち、電車では直接行けなくなったし、只見線ファンの鉄ヲタさんたちも行かなくなってしまった。それ以上に、放射能の風評で観光客が減って、青虫も相当来客が減ったという。 この用水路に川から水が流れ込み、周囲に溢れて、戻るときに護岸を破壊したと思われる。 今は列車が通らない只見駅付近の線路。思わず奥田と「スタンド・バイ・ミー」を歌う。 昨年、学習院のゼミ旅行はドライバー二名を学生から調達し、東京から車で行った。今年も、何と

    青虫合宿2011(1)「青虫」応援と只見観光:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2011/11/02
  • 「夏目漱石財団」閉鎖についてのお知らせ:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    2009年7月当ブログで、同年4月に設立されていた「夏目漱石財団(一般財団法人夏目漱石)」に対し、私は、同意いただいた親族とともに活動に反対する旨、ご報告いたしました。その後、財団の一部の方と連絡協議し、財団は活動停止状態になっておりました。 今回、2年の活動停止をもって、公式に財団閉鎖の手続きが終了したとのご報告をいただき、閉鎖事項証明書のコピーを入手いたしました。事情を知らずに財団に参加された方々にはご迷惑をおかけしましたが、ようやく正式に財団問題が解決したことになります。 この厄介な問題をともに解決していただいた財団の方、及びご協力いただいた方々に心よりお礼申し上げ、ご報告させていただきます。 以下に、当ブログでご報告した記事と、関連情報のURLをご紹介します。ただ、知らずに財団に関わってしまった方々に、さらにご迷惑をおかけしたくないので、ここではコメント欄をカットして転載いたします

    「夏目漱石財団」閉鎖についてのお知らせ:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    映画化にあわせて出版された『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(小学館集英社プロダクション)。面白いです。 何しろ、アメコミのスーパー・コスチューム・ヒーローは、悩んでいる。キャプテン・アメリカも、もう初っ端から悩んでいて、荒れている。作品の最初のほうで、ライバルの怪人が殺され、その陰謀を巡って話は進むのだが、そこに第二次大戦でのナチとの戦い、ソ連との関係、冷戦時代のKGBとのからみなど、アメコミ・ヒーローが辿ってきた時代が織り成され、暗くて重い話が続く。 キャプテン・アメリカを助けて活躍した少年のその後の話などには、今のアメリカが抱える帰還兵士の問題も投影されているように見える。二次大戦や冷戦の記憶は、たびたびモノクロのイメージで挟み込まれ、いろんな意味で興味深いコミックである。お話そのものは面白く、読み出すとどんどん読んでしまう。 最後の決戦には、ファルコンとアイアンマンが

    『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 昨日の講義で:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    後期は産業市場としてのマンガで始めている。昨日は二回目。一回目は『ワンピース』ブームから見る流通などの構造。 今日は、年齢層別の雑誌構成が成立したことなどを、日のマンガ市場の特性として解説しながら、学生たちに、小さい頃どんな雑誌を読み、どう変わっていったかをインタビュー。小さい頃は「コロコロ」などの幼年誌を読んでいた人が多く、少女マンガ誌は「なかよし」とか。 それから小~中と、上の雑誌に移り、そして「雑誌を読まなくなった」人が多い。今大学生の年代が、大雑把に2000年代に入って雑誌を読まなくなっていった印象があった。マンガの講義を受ける学生たちですら、10代で単行に移行してしまう時代なのだ。 マンガの年間雑誌発行部数と、単行部数の、ここ20年ほどのグラフを見ると、両者の減少角度の違いからしても、たしかにそうだろうなと思う。学生たちは、圧倒的に単行中心にマンガを読んでいて、雑誌を読ま

    昨日の講義で:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
    Mamiccho
    Mamiccho 2011/10/08
  • ヴィンシュルス『ピノキオ』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    ヴィンシュルス『ピノキオ』(原正人訳 小学館集英社プロダクション)。 2009年アングレーム国際BDフェス、グランプリ作品となったBD。 凶悪にしてダークな『ピノキオ』ですが、不思議と嫌な感じがしない。いや、面白い! もともと幼少期に観たディズニー・アニメ『ピノキオ』にトラウマを持った作者が、その記憶から描いた作品らしい。ウォルト時代のディズニーには、たしかにホンのちょっと見方を変えると、まっさかさまに黒くなる何かがあるよな、と読んでいて思う。白雪姫の真っ黒なパロディも出てくるし(七人の小人は、変態集団よ!)。このへん、ディズニーがじつは好きなのに、それをどうしてもこんな風に表現してしまうフランスBD的なひねくれ方が感じられる。 絵や雰囲気には、アングラ・コミックの大御所ロバート・クラムが感じられるが、ロバート・クラムの時代的な濃さ、暗さの直截さが、意外とない。とくに色彩や風景は、混濁し汚

    ヴィンシュルス『ピノキオ』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 学習院生涯学習センター講座「マンガの世界史」:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    日、9月30日、学習院生涯学習センター講座「マンガの世界史 近代視覚文化としてのマンガ」終了しました。 以下、レジュメをアップします。 2011.9.30学習院生涯学習センター 講座【S06】マンガの世界史 近代視覚文化としてのマンガ 夏目房之介 1)マンガとは何か? 現在流通している「マンガ(漫画)」のイメージは、連続したコマでお話を語る、視覚的な説話表現で、複数のコマで割られたページ群を示す【図1】。が、これは歴史的に成立したイメージで、日では戦後60年代以降に一般化したといっていい。それまでは戯画、諷刺画とよばれる1コマ物【図2】を含み、70年以降衰退してしまった「大人漫画」と呼ばれる「漫画」が主流だった。現在、我々が目にするマンガ関係の言説は、ほとんどが戦後主流になったマンガ雑誌・単行のイメージを対象にしている。歴史的に変遷してきた「マンガ(漫画)」の古いイメージは忘れられ、

    学習院生涯学習センター講座「マンガの世界史」:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ