戦後最大の経済危機に、欧米優位性の低下を混ぜて、地球温暖化という黙示録的警告を加える。すると、急進的で目新しいアイデアが出来上がる。 今のヨーロッパに渦巻く時代精神は、新しげな装いをしていても中身は古い思想の焼き直しにすぎない。経済成長には限界があり、またそうあるべきという考えだ。資源は乏しく、人口は増え過ぎ、海面は上昇しているのだから......。 イギリスでは政府委員会が、経済成長を前提としない「定常型経済」を目指す計画をまとめた。持続可能な社会のために今後の経済成長は諦め、労働時間を減らし、大量消費を抑えるためにテレビ広告を禁じるという。 『出口──成長なき繁栄』という本がベストセラーになっているドイツでは、国民に倹約を勧めるこの手の本が花盛りだ。 フランスのニコラ・サルコジ大統領は、もっと働いてもっと稼げと国民にハッパを掛けて政権の座に就いた。そんな彼がいま支持しているのは、GDP