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ブックマーク / call-of-history.com (16)

  • ルイ9世の下顎

    「Call of History - 歴史の呼び声 -」主宰者。世界史全般、主に中世英仏関係史や近世の欧州・日の社会史に興味があります。

    ルイ9世の下顎
  • 『あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる』岡地稔著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    大王、禿頭王、肥満王、吃音王、短軀王、赤髭王、血斧王、征服王、碩学王、賢明王、敬虔王、獅子王、獅子心王、欠地王、聖王、悪王、残虐王、善良王に端麗王・・・中世ヨーロッパの王侯貴族はなぜ「あだ名」がついているのだろうか。それに、シャルル、ルイ、フィリップ、アンリ、ジャン、カール、ルートヴィヒ、ハインリヒ、オットー、フリードリヒ、ウィリアム、ヘンリ、リチャード、エドワード・・・同じ名前の違う人物が何度も何度も繰り返し出てくるのも不思議ではないだろうか。なぜシャルルの子もシャルルでオットーの子もオットーでエドワードの子もエドワードなのだろうか。 書ではそのような中世ヨーロッパの名前の付け方や「あだ名」の流行から、彼らの家門意識の成立過程を非常に丁寧に史料を読み解き、紐解いていく好著である。 書によれば史料に残る限りで「あだ名」がつけられた王侯貴族はメロヴィング朝末期からカロリング朝期(八世紀)

    『あだ名で読む中世史―ヨーロッパ王侯貴族の名づけと家門意識をさかのぼる』岡地稔著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 何故、アーサー王のイメージカラーは青色なのか? | Call of History ー歴史の呼び声ー

    神話・伝承「アーサー王の紋章」(十六世紀)/ "Armoiries du roi Arthur. Détail du folio 3 recto du manuscrit français 5233 de la BnF. D'azur à trois couronnes d'or disposées en pal." 古くからアーサー王は青い色の衣服を身に着けて描かれることが多かった。最近でも、人気のFateシリーズでアーサー王をモチーフにしたキャラクターであるセイバーことアルトリア・ペンドラゴンが青色を基調とした衣装で描かれているため、多くの人に青色のアーサー王は馴染みが深いだろう。アーサー王と青色は伝統的な組み合わせであった。アーサー王が青色の衣装を身にまとって描かれるようになるのは十三世紀のことで、これはヨーロッパにおける青色の地位の向上と流行を背景としている。

    何故、アーサー王のイメージカラーは青色なのか? | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 『ハンザ「同盟」の歴史ー中世ヨーロッパの都市と商業』高橋理 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    十二世紀から十七世紀にかけて、北海・バルト海交易の主要プレイヤーとして中世ヨーロッパ経済で存在感を発揮した都市連合体「ハンザ」とは何だったのか?誕生から消滅、その後の影響までを描いた、日語文献としては随一と言っていい概説書である。 著者の『ハンザ同盟−中世の都市と商人たち(教育歴史新書)』(1980年)を近年の研究動向を反映させて大幅に増補改訂したもので、特に「第七章 ハンザ諸都市の群像」「終章 ハンザの文化遺産」が今回新たに加えられたとのこと。 日では「ハンザ同盟」の名前で良く知られているが、書のタイトルが括弧書きで「同盟」となっていることからもわかるように実は少しおかしい表現である。書の序章でまずこのハンザの語義について詳述されている。 「ハンザ” Hanse”」は普通名詞で「団体」「組合」を意味し、中世の同職組合であるギルドの中でも商人の組合を指して使われたから、「ハンザ同

    『ハンザ「同盟」の歴史ー中世ヨーロッパの都市と商業』高橋理 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 圧巻の織田信長キャラ703名総覧『信長名鑑』(姫川榴弾 著)感想 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    世の中、右を向いても左を見ても織田信長で溢れている――戦国乱世を切り拓く合理主義的改革者だったり、恐怖で支配する残虐な殺戮者だったり、第六天魔王を称するこの世の者ならざる怪物だったり、タイムスリップしてきた女子高生ヒロインと恋に落ちるオレ様イケメンだったり、グラマラスでセクシーなツンデレ美少女だったり――そんな織田信長をモデルとしたキャラクターを、十六世紀の歴史的な肖像画からソーシャルゲームまで585作品703名、整理分類し一覧にしたのが書です。素晴らしい労作と言わざるを得ない。 大河ドラマ・時代劇等実写映像作品、キャラクターイラストが掲載されていない小説歴史研究書などは対象外なので、アニメ、ゲーム漫画ライトノベルなどサブカルチャーの中で”描かれた”織田信長がまとめられています。 年代別リストとあわせて「深掘り織田信長」として「創作物の信長キャラクター分析」「信長登場作品が多い理由

    圧巻の織田信長キャラ703名総覧『信長名鑑』(姫川榴弾 著)感想 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • ジャンヌ・ダルク火刑時の「焼けなかった心臓」の逸話を史料から考える | Call of History ー歴史の呼び声ー

    ジャンヌ・ダルクの心臓が火刑後も焼けずに残ったというエピソードがまことしやかに語られ、聖女ジャンヌの奇跡として取り上げられることも多いようだ。 ジャンヌ・ダルク復権裁判での証言このエピソードの出典はジャンヌ・ダルク復権裁判での関係者の証言である。1431年のジャンヌ・ダルク処刑裁判当時、ルーアン管区司祭長で処刑裁判の召集など運営実務を行う法廷執行吏を務めたジャン・マッシュウ”Jean Massieu”が以下のように証言している。 『私は、ルーアンの国王代官の書記ジャン・フルーリーがこう言うのを聞きました。死刑執行人がジャンに、ジャンヌの躯は焼きつくされて灰になってしまったが、心臓だけは無傷で血がいっぱいだったと語ったというのです。しかし灰と彼女の残したものはすべて一緒に集めて、セーヌ川に捨てるように命令されたので、その通りにしたということです。』(レジーヌ・ペルヌー編著(高山一彦訳)『ジャ

    ジャンヌ・ダルク火刑時の「焼けなかった心臓」の逸話を史料から考える | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 遂に完結『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』(大西巷一作)1~12巻感想

    『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』(大西巷一作)は十五世紀のボヘミアで起きた宗教戦争「フス戦争(1419年-1434年)」を描いた中世ヨーロッパ歴史漫画で、2019年6月12日発売のコミックス12巻で完結しました。 フス戦争は、ローマ教会の世俗化を厳しく批判していたプラハ大学総長ヤン・フスが1415年異端として処刑されたことに対して、フスの信奉者たち=フス派が蜂起して始まった宗教戦争で、フス派内の急進派ターボル派を率いたヤン・ジシュカが貧しい農民たちを組織し、当時はまだ一般的ではなかった銃火器を駆使して騎士たちの大軍を次々と撃破した火器戦術の革新をもたらした戦争として位置付けられます。また、フス派内の諸派の合従連衡と葛藤、ボヘミアの貴族たちと神聖ローマ皇帝ジギスムントとの対立、帝国諸侯の権力闘争、ローマ教会の権威の失墜など多様な要因が重なり合って、宗教戦争の枠を超えた国際戦争の様相を呈

    遂に完結『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』(大西巷一作)1~12巻感想
  • セミラミス伝説の誕生と変容の歴史~メソポタミアから中世ヨーロッパへ

    セミラミス(” Semiramis ”)は伝説上のアッシリアの女王。ヘロドトスが「歴史」でバビロンの堤防を築いた女王としてその名を挙げて以降、古代ギリシアで様々な著者によってエピソードが創作され、伝説上の人物となった。 アッシリアの王妃サムラマトとその時代モデルと考えられているのは紀元前800年ごろ、アッシリアに実在した王妃サムラマト(” Shammuramat ” or ” Sammuramat ”、シャムラマット、サンムラマートなどとも表記される)。サムラマトはアッシリア王シャムシ・アダド5世(在位:前823~811)の王妃で、同王の死後、子のアダド・ニラリ3世(在位:前810~783)の摂政となった。(注1) アッシリア帝国の主要都市カルフ(現在のニムルド)のナブー神を祀った神殿エズィダにあるカルフの代官ベール・タルツィ・イルマが奉納した神像に『神ナブーに(中略)、アッシリア王アダド

    セミラミス伝説の誕生と変容の歴史~メソポタミアから中世ヨーロッパへ
  • 時代別Fate/Grand Orderサーヴァント一覧 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    Fate/Grand Orderのサーヴァントを時代別に分類しました。歴史上の人物および神話伝承文学等歴史上形作られた創作に由来するサーヴァントのみで、オリジナルサーヴァントは除きます。 ヨーロッパ、世界史、日史でそれぞれ実在人物、神話伝承物語等架空の人物とに分けています。実在人物は生年準拠で、生年不明で没年がわかっている場合は没年準拠、生没年不明な場合は活動時期(君主であれば在位期間)に基づいています。実装済サーヴァントのみの表でイラストだけ公開されているサーヴァントは含んでいませんが今後追記するかもしれません。 また、架空の人物については作中の舞台が明らかなものについてはその作中の時代に準拠し、そうでないものは成立の時代に配しています。(例、12世紀~16世紀にかけて成立した6世紀のブリテン島が舞台の円卓・聖杯伝説関連人物は6世紀ヨーロッパに、9~14世紀にかけて成立した作中の時代背

    時代別Fate/Grand Orderサーヴァント一覧 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 「〈身売り〉の日本史: 人身売買から年季奉公へ」下重 清 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    中世・近世を中心に日において人身売買がいかにして無くならず生き残り続けたか、を通史として浮き彫りにした文字通り「身売り」の日史の概説。 古代から中世にかけて、人はものとして売り買いの対象だった。鎌倉・室町時代を通して時の政権も例えば無理やり誘拐や騙して売り飛ばしたりといったものは不正とされたが人身売買そのものは禁止されなかったし、戦国時代は文字通り「人取り」という奴隷売買が国内のみならず海外向けにも行われていた。江戸幕府になっても禁止されたのは人商い業と人をかどわかして売る行為であって人身売買そのものは禁止されなかった。ただ、譜代下人から年季奉公へと雇用形態が変化したことによって人身売買の対象は大きく縮小したが、男性の人身売買はほぼ無くなったものの、いわゆる遊女・売女など苦界に沈めるという行為を通しての女性の人身売買は残り続けることになった。 何故江戸時代に女性の身売りは無くならなか

    「〈身売り〉の日本史: 人身売買から年季奉公へ」下重 清 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 良作の予感「エーゲ海を渡る花たち」少女二人の中世ヨーロッパ旅行漫画開幕!

    エーゲ海を渡る花たち | 妹を探すため、ふるさとのクルムへと戻りたいオリハと、その旅に同行したいリーザ……ふたりの旅が今始まる! 15世紀半ばのイタリア・フェラーラにて、世界を旅することを夢見る少女・リーザは、クルム(現クリミア)から来た少女・オリハと出会う。妹を探すため、ふるさとのクルムへと戻りたいオリハと、その旅に同行したいリーザ……ふたりの旅が今始まる! 公式ページ・ストーリーより 8月22日に第一話が公開されたばかりの新作ですが、とても面白かったです。主人公の一人リーザ・ロセッティが旅することを夢見る通称「跳ねる嬢(インペンナータ)」と呼ばれるおてんばな商家の娘、もう一人のクルム(クリミア)からイタリアへと紆余曲折を経てたどり着いた物静かで思慮深そうなスラブ系少女オリハが出会い、心打ち解けて旅立とうという第一話でした。舞台となる中世後期のイタリア都市フェラーラの観光案内やメシ、そし

    良作の予感「エーゲ海を渡る花たち」少女二人の中世ヨーロッパ旅行漫画開幕!
  • 「大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー」 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    ヨーロッパの中世を「暗黒時代」、すなわち「暴力と狂信と無知と停滞の時代」とする見方はすでに否定されている。確かに絶え間なく続く戦争と、キリスト教的世界観の浸透と、ローマ教会の支配が築かれ、ギリシア・ローマ時代の知識が少なからず一時的ながら失われた時代ではあったけれども、後に近代を切り開く土台となる様々な技術のささやかながら着実な革新が繰り返された、ゆっくりと着実な進歩の時代であった。その中世ヨーロッパのテクノロジーとイノベーションはどのようなものであったのか、緩やかな技術革命の千年を振り返る一冊である。 別に中世ヨーロッパが栄光の時代であったとか、産業革命に比肩する技術進歩の時代だったなどと言う訳ではなく、ただただ、後進地であったヨーロッパで中世の千年間で起きていた地道な技術的革新の歩みを描いているに過ぎないが、そこにドラマがあり、面白さがある。ジャレッド・ダイアモンドとかウィリアム・H・

    「大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー」 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 「ガールズ&パンツァー」感想

    今更ながらニコニコ生放送の一挙配信で「ガールズ&パンツァー」を全話観ました。評判通りすごく面白かったです。 作の特筆されるオリジナリティは戦車戦という戦争そのものを部活動(選択必修科目の授業という位置づけ)というスポーツとして描いているところにあり、スポーツとしての「戦車道」を通して友情・努力・勝利の王道ストーリーを展開させている手堅い作品ですね。戦車という題材が時々アニメの右傾化といった切り口で批判されていたりもしますが、まぁ、そこは別にどうでもいい。 スポーツとしての戦争、というのは近代スポーツの誕生を振り返れば、別段違和感の無い話です。議会制度の発展は暴力による政治的問題の解決を忌避し戦闘技術から説得・言論技術へと移行することによってもたらされました。文化の非暴力化=文明化の過程で政治ゲーム化としての近代議会制度と身体のゲーム化としての近代スポーツが生み出されてきたわけです。すな

    「ガールズ&パンツァー」感想
  • 「ローマ五賢帝 『輝ける世紀』の虚像と実像 」南川 高志 著

    帝政ローマの最盛期を現出したのがネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウス・アントニヌスの五人の皇帝、通称「五賢帝」である、とされる。トラヤヌス帝の時代に最大版図を実現し、政治的にも経済的にも安定して、何かと理想化されるこの時代――紀元九六年から一八〇年までの約一世紀――を統治した五人の皇帝について、近年の研究動向と様々な史料を元にその光と陰を読み解いた非常に面白い一冊。 五賢帝時代に関する一般的な理解は、書によれば「徳望ある理想的な君主が元老院と協調して政治を行い、また元老院の優秀な人材を養子にして帝位を継がせるシステム(養子皇帝制)が機能して帝位をめぐる内乱が生ずることもなく、国の内外が安定した平和な時代」(P229)とされるが、書で明らかにされるのは五賢帝時代の実態はその説明と相容れないということだ。「『養子皇帝制』なるものは、実際には見出し

    「ローマ五賢帝 『輝ける世紀』の虚像と実像 」南川 高志 著
  • 箸食誕生の歴史

    箸の誕生箸は黄河流域で誕生した。現在見つかっている最古の箸は河南省安陽県の殷墟(紀元前十八世紀~紀元前十一世紀)から出土した銅製の箸だが、当時は手であったことは明らかであることから、事用ではなくべ物を取り分ける、あるいは祭祀用のものだと考えられている。 おそらく黄河流域では、『獣肉や野菜を包丁と俎でべやすい大きさに料理してべていた。べるときに、フォークや匙でなくて、手の感覚を延長して、汁の実などを挟みあげたくなったのであろう。熱いべ物を取り出すのに、指先に代わる竹ぎれか木ぎれを使ったのが、箸の始まりといわれる。一の棒ではべ物を固定できないので、二でそれをしっかり挟み上げるようにしたのである。』(向井、橋「箸 ものと人間の文化史102」) これが直接箸を使ってべ物を口に運ぶようにはならなかった。箸は、事を取り分けたり、調理する際に箸を使って固定したりする用途に使

  • 「アルドノア・ゼロ」の火星カタフラクトの名前の由来まとめ

    現在放送中(第一期2014年7月~9月、分割二クール予定)のロボット戦争アニメ「アルドノア・ゼロ」の敵方ロボット火星カタフラクトは名前がそれぞれ、ギリシア語・ギリシア神話を元にした火星の地形の名やギリシア神話の名が多く使われています。(実際天体に関する名称はその多くがギリシア神話由来ではありますが)その元ネタについての簡単なまとめです。 前記事「火星観測・探査の簡単な歴史」はこの記事の前置き用に書いたものでしたが、長すぎたのと、筋とはあまり関係ないので分割しました。お読みいただいておくとこの記事の火星の地形関連の記述はよりわかりやすくなるかと思います。 火星カタフラクトの由来ニロケラス初っ端からこれどうやって勝つの・・・と絶望感を与えてくれた火星騎士みんな大好きトリルラン卿のカタフラクト「ニロケラス」の元ネタは火星の「ニロケラス地溝帯 (Nilokeras Fossa)あるいはニロケラス

    「アルドノア・ゼロ」の火星カタフラクトの名前の由来まとめ
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