日本の牛飼いたちはたくましい。牛肉の輸入を自由化して今年で20年。政策による保護もあるとはいえ、安いオーストラリア産や米国産の対日輸出攻勢をかわし、産業としての形を着実に整えてきた。だが、彼らの胸にも最近は大きな不安がよぎる。和牛の改良と大規模化という、これまで信じて疑わなかったビジネスモデルにほころびが見えはじめているからだ。 1990年度、約39万トンだった国内の牛肉生産量は2009年度約36万トン。国が輸入数量を割り当てる仕組みを関税に置き換え、自由化しても国内生産の落ち込みはわずかなものである。自由化が決まったのが1988年、バブル経済のまっただ中で、グルメブームが本格的に広がりはじめた時期で需要が伸びる時代だったことも奏功した。 日本固有の遺伝資源、和牛だけをみれば、90年度の約14万トンから90年代半ばに17万トン台に膨らみ、09年度は約15万トン。不景気が続く中、高級食材とし
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