大阪市の学校法人「森友学園」と財務省の国有地取引問題で、売買交渉記録について「残っていない」という国会答弁を連発した佐川宣寿(のぶひさ)・前財務省理財局長が国税庁長官に就任して一カ月近く就任会見を開いていない。国税庁長官にとって、公の場で報道機関の質問に答える唯一の機会で異例の事態。庁内では「会見で森友問題に質問が集中する可能性があるので、開かない方が混乱を避けられる」という声もある。 (石井紀代美、白山泉) 国税庁長官は一年程度の任期中、定例会見は行っておらず、本紙などが加盟する国税庁記者クラブは、佐川長官が五日に着任して以降、できるだけ早く就任会見をするよう同庁に求めてきた。同庁広報は取材に「諸般の事情で調整が長引いている。開かない可能性もある」としている。 広報によると、長官の就任会見は慣例で、着任して二~三週間後に開かれてきた。記録の確認できる二〇〇〇年代以降、すべての長官が行って