東日本大震災、また福島第一原子力発電所の事故以降「科学者が信頼を失った」とか「専門家の権威が失墜した」といった指摘が日本社会に広がりました。 でも、現実に起きている出来事、例えば原子炉事故の収拾や廃炉処理、汚染水問題の解決など、人類がいまだ直面したことのない事態の前で、今ほど本当は科学の英知や、専門家の能力が必要とされている時代もないように思います。 こんな状況の中、私たちは何をどう考えればよいのでしょうか? 現状を打開する1つのヒントは「知の品格」にあると私は考えています。 科学の知見、技術の力は、多くの場合「両刃の剣」になっていると思います。つまり、良くも使えるし悪いことにも転用できる。もし今、大学や研究所に籍を置く専門家が社会的な信頼を失っているとしたら、名誉と信用の回復に必要なのは「知の品格」だと思うのです。 福島の原発事故のみならず、これまでにも大規模な公害訴訟などで、市民の告発