5月23日から公開が始まる『だれも知らない建築のはなし』は、1970年代から現代に至るまでの日本の建築史を振り返るドキュメンタリー映画である。磯崎新、安藤忠雄、伊東豊雄、ピーター・アイゼンマン、レム・コールハースら国内外建築家、そして建築におけるポストモダンを定義づけた理論家のチャールズ・ジェンクス、日本発の国際建築雑誌『a+u』を発行した中村敏男など、現代建築の半世紀を牽引してきた巨人たちの貴重なインタビューが、潤沢に余すところなく収録されている。 全編にわたり、ほぼインタビュー素材のみで構成されているが、鑑賞を進めていくと、次第に会話劇のような色彩を帯びていくのが同作の特徴だ。海外勢によるあけっぴろげな日本人建築家への批判に対し、やや諧謔的なアンサーを返す伊東や安藤のそれはいかにも日本人的とも言える一方、彼らよりも一回り上の世代にあたる磯崎は、日本古来の宗教観や歴史を踏まえた独自の建築