息を呑むような瞬間をとらえた水中写真で、国際的な評価を得ている日本人写真家がいます。生と死というテーマに正面から挑み、水辺や水中で人物を撮り続けている、池谷友秀。彼の作品集『BREATH』をご紹介します。 漆黒の世界で、真珠のような水泡を身にまとい、重力から解き放たれた人体が躍動しています。血色のない、大理石のような白い肌も相まって、被写体は、まるで凍結した時間の中にいるようです。くっきりとした輪郭とコントラストをもって闇に浮かぶ人体には、力強い造形美を見出せるでしょう。 池谷友秀 BREATH #102,2011 「生きていくことに必要なものを、考え続けるために」 これらの写真作品は、もちろん合成などではなく、水中で写真家自身も潜水して撮影したものです。水中での撮影ですから、被写体は撮影の間、当然、呼吸をしていません。私たちの生存の術であり、生存の証でもある呼吸。その呼吸にフォーカスをあ