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ブックマーク / takokakuta.asablo.jp (15)

  • 「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート著 NHK出版: 緑の森と図書館

    著者は、地球規模での過去の生物の大量絶滅は5回あったが、現代は6度目の大量絶滅が進みつつある時代であり、その絶滅を引き起こしているのは、ほかならぬ人類であるとする。 書では、今まさに進みつつある人類による大量絶滅の実例をいくつも取り上げている。 まずは、キュヴィエによるアメリカマストドンの絶滅の発見。これは、ちょうど人類が北アメリカ大陸に進出していった時代と軌を一にするという。 また、北ヨーロッパから北アメリカに広く分布していたオオウミガラスは、簡単に捕まえられることとその味の良さや羽毛、燃料用に使われ、19世紀までに絶滅した。 さらに、産業革命以降の二酸化炭素の大量排出により、海水面近くの水素イオン濃度は低下を続けており、その影響を真っ先に受けるのがサンゴに代表される石灰化生物である。このまま海の酸性化が進めば、2050年までにはサンゴ礁は生き延びることはできないだろうとする。 そして

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    a246ra 2015/07/07
    「緑の森と図書館ブログ」
  • 「プラスチックスープの海」チャールズ・モア著 NHK出版: 緑の森と図書館

    もしかしたら、二酸化炭素よりもはるかに大きな環境被害を及ぼしているかもしれないプラスチックに関する衝撃的なである。 要約すれば、世界の海にはいくつかの渦流域が存在し、そこには海に捨てられたおびただしいゴミが浮遊している。そのゴミの中で特に目立つものが、プラスチックである。人間が作り出した重化合物であるプラスチックは海の中では安定的に存在し、微細化しつつも相当の長期間分解されずに存在する。 これが物連鎖の中に入り込み、海洋生物に様々な悪影響をもたらしている。 そればかりか、イワシや牡蛎などにもマイクロプラスチックは摂取され、これらに含まれるビスフェノールAやフタル酸エステルなどの化学物質がわれわれにも悪影響を及ぼしつつある。 というものである。 書では数多くの衝撃的な事実が明かされる。 ・渦流のマイクロプラスチックの量とプランクトンの量を比較したところ、一つのサンプルでマイクロプラスチ

  • 「バイオパンク」マーカス・ウォールセン著 NHK出版: 緑の森と図書館

    書は、丁度パーソナルコンピューターをガレージで創り上げていったアップルやマイクロソフトのように、若い科学者たちが中古の機械を使ったり自らDIYにより分析機械を作成しながら、DNAの解析や操作といった最先端の生命工学を駆使している姿を描いたである。 自宅のクローゼットで遺伝疾患の検査法を開発した若い科学者、DNA断片を複製する機械を制作する機械を手作りした若者。遺伝子組換え技術を使って中国産粉ミルクにメラミンが混入していないかを検査する乳酸菌を開発した女性、シリコンバレーでがんワクチンを開発する若者たち。 などが登場する。 もちろん、DNA操作によるリスクにも触れている。 たとえば、バイオテロや新種の生物が地球環境を侵す懸念もあるとし、十分な予防措置が必要であるとも警告している。 しかし著者が、彼らを「バイオパンク」と名付けているとおり、遺伝子工学の研究開発の高い壁を打ち破る彼らの動きに

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    a246ra 2012/04/02
     「ここまで世界は進んでいるのだという事実に、新鮮な驚きを覚えた」
  • 「動物が幸せを感じるとき」テンプル・グランディン著 NHK出版: 緑の森と図書館

    自閉症の動物学者として有名な著者によるフィールドワークに基づいた動物行動学とでも言うべき。 犬、、馬、牛、鶏、動物園の動物、そして野生動物に至るまで、動物の立場に立って人間がどのように接したらよいのかを数多くの事例を示して明らかにしている。 ペットだけではなく家畜にまで動物側の感情を理解して、具体的に教えてくれるので、非常に実践的でもある。 このため、従来の視点にはない新たな見方が随所に示されて、興味深く読むことができた。 たとえば 犬については、家族単位で暮らすオオカミの観察から優位を維持するための第1位のオスなどいないというもの。つまり犬の飼い主は群れのリーダーになるようにと教えているのは誤りとしている。また、犬は遺伝的に子供のオオカミであり、遊びと探索が飼い犬には必須。犬種によってオオカミの行動が残っている数が異なり、雑種になるとオオカミの形質が強く現れ、特に臆病になるという。

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    a246ra 2012/01/24
    「机上で考えるのではなく、実際に現場で観察して作り上げるというフィールドワークをベースとした著者の鋭い観察眼と、人間と動物を対等に扱う考え方に大きな共感を覚えた」
  • 「パブリック」ジェフ・ジャービス著 NHK出版: 緑の森と図書館

    フェイスブックに代表される実名での交流サイトが力を持ちつつある。実際に、アラブの春とも呼ばれる現象もこれらのツールが大きな力となったという。 また、一方でウィキリークスのような、政府の機密情報が次々と暴露されていくツールには米国をはじめ多くの政府が危惧の念を抱き、実際に敵対的な行動に出たのは記憶に新しい。 世界におけるこれらの動きは、書がテーマとする「パブリック」という概念を、改めて浮き彫りにする。 書は、ネット社会における「パブリック」と「プライベート」について、グーテンベルクの印刷機の発明になぞらえて多角的に分析し検討し読者に考えさせる。 そして、われわれに対しても政府に対しても「守るべき情報とは一体何か」と訴えかけ、原則は公開とすればそこから得られるものはとてつもなく大きいと我々を手招きする。 著者のいう「プライバシーの原則」は大いに参考になるのでぜひ書を紐解いてほしい。 もう

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    a246ra 2012/01/11
     「著者のいう「プライバシーの原則」は大いに参考になるのでぜひ本書を紐解いてほしい」
  • 「私を宇宙に連れてって」メアリー・ローチ著 NHK出版: 緑の森と図書館

    楽しいである。 宇宙飛行士のことをもっと知りたいなら、そして何より宇宙飛行士を目指すのなら、書をおすすめする。 書の途中まで読んで、あまりに下ネタや下品なジョークが飛び交うので、著者が女性には到底思えなかった(失礼)。C-9貨物機に乗り込んで無重量の体験をしたときの子宮の感覚を書いているのを見てようやく女性と認識したくらいである。 とにかくユニークな話のオンパレードである。 月面用国旗の開発と実際の展開設置に至るまでのどこかおおげさな報告書。 上昇と下降を使って一時的に作り出す無重力状態の実験から嘔吐をもよしたり大量の水を飲まして排尿させるなどどこかおかしな実験。 無重量状態では扇風機がないと自分自身から発せられた熱や二酸化炭素が悪影響を与えるという話。 重力がなく上下の区別のない宇宙空間では、簡単に宇宙酔いが起きるが、宇宙飛行士にとっては不名誉なことであり、だれが吐いたか取材するこ

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    a246ra 2011/11/24
    「宇宙飛行士や宇宙旅行に関心があるなら、ぜひ本書を読んでみてほしい。そして、腹を抱えて笑いたい人にもおすすめの本でもある」
  • 「夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか」タラ・パーカー=ポープ著 NHK出版: 緑の森と図書館

    原題は、「For better the science of a good marriage」であり、こちらの方が内容をよく表しています。 書は、結婚について、多くの科学的研究を紹介し、より良い結婚生活とは何か、結婚生活に問題が生じたらどのように対処したら良いか、今日からできることは何かなど具体的事例を挙げながら、アドバイスしてくれるです。 各章にある質問票で、これを読んでいる夫婦の状況も自己点検できるようになっており、回答にもとづいたコメントもあって、自分(たち)がどのような状態にあるのか客観的に見つめることができます。 新たに教えられたところもたくさんあります。 ~現代のアメリカの夫婦は離婚しなくなっている。 アメリカ人も、人との関わり合いは薄くなってきている。 女性はパートナーとのMHCと呼ばれる免疫系の遺伝子の類似性が低い方が性的な満足度が高い。 結婚していない人は結婚している

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    a246ra 2011/10/11
     「多くの夫婦やカップルに読んでもらいたい真面目な本です」
  • 「瞬間説得」ケヴィン・ダットン著 NHK出版: 緑の森と図書館

    心理学的に見られる人間の行動を逆手にとって、豊富な事例を挙げながら、「その気にさせてしまう」手法を学ぶ書に紹介される事例は、小話のようにおもしろくて上質の話題が豊富にある。 たとえば、 チャーチルが晩餐会で銀の塩入れを盗もうとした人を発見した後の行動。 暴力を振るわれることの多い職業安定所の職員で、一度も振るわれたことのない人物の秘訣。 同じワインを、高級ワインとテーブルワインのボトルに入れて、ソムリエに試飲させてもらったときの感想。 きりのよい値段と端数のついた値段のついた商品の売れ行きの違い。 ホテルのタオルの再利用のためのメッセージの違いで変化する人間の行動。 サクラがいるだけで、来の色とは違う色を答えてしまう実験。 苦痛のある状況に慣れてしまうと、その場からは逃げなくなってしまう実験。 支持政党が違うだけで、矛盾が見えなくなってしまう現象。 禁煙のロンドンの地下鉄で、タバ

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    a246ra 2011/07/27
    「本書に紹介される事例は、小話のようにおもしろくて上質の話題が豊富にある」
  • 「乾燥標本収蔵1号室」リチャード・フォーティー著 NHK出版: 緑の森と図書館

    書の表題は、大英自然史博物館の中でも最も奥まったところにある雑多な乾燥標が収められた場所のことである。 読み進むに従って、その意味が明らかになっていく。 内容はその副題の通り、迷宮ともいうべき博物館の研究者たちの紹介であり、実に楽しい。 著者は、専門が三葉虫の研究者であるが、なかなかどうして他の分野への造詣も相当に詳しい。 著者の専門である化石のみならず、魚類、寄生虫、線虫、植物、珪藻、昆虫、石(宝石類も)などなどあらゆる分野が紹介される。中でも、鉱物については毎月20~30種が新種として承認されているというから驚きである。また、呪われた宝石の話を読みと、カラーページの写真を見るのも怖くなってくるという仕掛けもあったりする。 さらに、人物観察力が秀でている。個性のある研究者たちを実に多彩に面白おかしく描いている。 たとえば、昆虫の研究者には個性的な(一般社会では変わり者)研究者がたくさ

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    a246ra 2011/06/06
     「本書とともに大英自然史博物館をすっかり堪能し、いつかはぜひ訪れてみたい場所になった」
  • 「シェア」レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース NHK出版: 緑の森と図書館

    シェアというテーマであるが、現代は人類の歴史の中でも産業革命に匹敵する大きな変革期にあるという位置づけでとらえている。 太平洋のど真ん中に広がる太平洋ゴミベルトを紹介し、倉庫業の隆盛と頻繁なモデルチェンジを繰り返し、ものに所有されている現代社会を憂い、大量生産大量消費の限界に来ているとし、新たな動きとしてのシェアをテーマとしたである。 多くの事例が紹介される。 ロンドンのリフトシェアドットコムの自家用車に同じ通勤経路の人を乗せるライドシェア。 子供の年齢や学習程度に応じたおもちゃのレンタルを行っているPSS。 たまにしか使わない道具を他人に貸し出すP2Pサービス。 デザイナーバッグなどのぜいたく品のレンタルサービス。 中古品の交換サイト。 P2Pで自家用車を貸し出すサービス。 泊まる場所が必要な旅行者に余った部屋を貸し出したいエアビーアンドビー などなど、様々なサービスがごく最近生まれて

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    a246ra 2011/03/08
    「本書には、持続可能な社会を作るためのヒントがたくさん詰め込まれている」
  • 「世界の食料ムダ捨て事情」トリストラム・スチュアート著 NHK出版: 緑の森と図書館

    著者は、15,6歳の頃豚を飼っていて、その子豚のために残飯をえさにすることをきっかけに、品廃棄物の問題に取り組み始めた筋金入りの人物で、廃棄品だけで事を続けるフリーガニズムを実践しているという。 ロンドンのスシ店やサンドイッチ店からトレイを空けて拾ってべられないようにしているごみ箱。 スーパーの過剰発注の結果、製造現場で廃棄されるサンドイッチ。まだまだ安全にべられるのに、賞味期限を過ぎているとして不必要に廃棄される品。スーパーの農産物の過剰品質要求による不必要な廃棄。 さらに、アマゾンやインドネシアなどの耕作地拡大のための森林破壊。 政府の補助金による過剰生産対策のための休耕地指定。 底引き網による乱獲と不必要な魚の廃棄。共有地の悲劇。 一方で、途上国での貧弱な保管施設による料の損失。 などさまざまな現場を見てきた著者だから言える説得力を感じる。 衝撃的なのは、世界じゅうで収

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    a246ra 2011/02/03
    「本書で紹介されるジョンロックの言葉は重い。広く、知ってもらいたい本である」
  • 「女の子脳男の子脳」リーズ・エリオット著 NHK出版: 緑の森と図書館

    古今東西の男女の性差についての研究を網羅して紹介し、特に子供を持つ親に向けて書かれた。 大作である。 過去に、男女の違いについては様々な見解の書物が出されてきているが、それらを包括的にとらえ、客観的に見つめている。 著者の主張は明確で、脳の可塑性に注目し、もちろん生まれつきの男女差はあるものの、むしろその後の環境や教育によって乗り越えられるものであるというものである。 最近では、ジェンダーフリーとよく言われるが、男女の違いに着目しながら、それぞれの個性を生かしたより良い社会づくりに参考になる。 男女の先天的な違いは、それほど大きなものではなく、むしろその後の教育や訓練で十分に修正できるということが大事である。 むしろ男の方が、生まれたときから弱く、言葉の能力も劣る、ドロップアウトも多いなど問題が多いという。 現代は、男性受難の時代の到来のように思えてならない。 すでに、アメリカでは20代

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    a246ra 2011/01/06
     「男女の違いを探し出す試みよりも、ともに協力して作り上げていく、多様で調和の取れた社会づくりをしていくという著者の主張に、心を動かされた」
  • 「いのちの中にある地球」デヴィッド・スズキ著 NHK出版: 緑の森と図書館

    書は、いくつもの示唆に富んでいて、様々な課題の前に行き詰まっているように見えるこの現代社会に、光を与えてくれる。 自体は薄いが、中身は重い。 著者の言うように、経済成長こそが人間を幸せにするという概念は、どこか間違っている。 そして消費こそが美徳とされ、限りある資源を浪費し続けていることは明らかにおかしい。 領土争いなどということも、人類が勝手に線引きしただけのことで来土地は誰のものでもない。 空気や水や土そして火(太陽)は、我々の体と一体のものであると考えれば、廃棄物で汚染することは我々自身を汚染することと同じなのだ。 すでに人類は、地球環境を元に戻すために必要な年数(書では1年分取り戻すために1.3年かかるという)以上の環境から収奪を続けている。 これを指数関数的に増加するバクテリアを例にたとえ、残された時間は59分という。 これだけの悲観的な事例を挙げても、著者は希望を捨てて

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    a246ra 2010/10/28
     「これだけの悲観的な事例を挙げても、著者は希望を捨てていない。そのためには、未来への想像力を持つことだと教えてくれる」
  • 「ロボット兵士の戦争」P・W・シンガー著 NHK出版: 緑の森と図書館

    イラクやアフガニスタンでは、爆弾処理にロボットが活躍しているという。 また、多くの無人偵察機が空を飛び、タリバンなどの活動を事前に封じ込めてもいるという。 コンピュータゲームしかしてこなかった若者が無人飛行機の部隊をアメリカから遠隔捜査で飛ばし、自ら判断するプログラムされたロボットが戦場を走り回っている。 これは、SFではない。すでに現実の世界で起こりつつある。 ロボットは、戦争を防ぐこともできるし、戦争を引き起こすことも、はたまたテロさえ可能である。 もはや時代はこんなところまで進んでしまったのかと驚きを禁じえない。 書は、これらロボット兵器の開発史から、将来予測される事態、その問題点や限界点まで考え得るほとんどを網羅した大作である。 書を読んで感じたのは、槍と盾の議論である。どんなに優れた兵器を開発しても、かならずその技術への防御対策が編み出される。 そして、ロボット兵器もいずれ模

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    a246ra 2010/10/12
      「ロボット兵器の開発史から、将来予測される事態、その問題点や限界点まで考え得るほとんどを網羅した大作である」
  • 「ロストシティZ」デイヴィッド・グラン著 NHK出版: 緑の森と図書館

    わくわくするである。 1925年に、アマゾンの奥地でZと呼ばれる古代都市をたずねて姿を消した探検家フォーセットを辿る記録である。 どうやらこのフォーセットという人物は、多くの人をとりこにするらしい。 あの、コナンドイルの「失われた世界」も彼がモデルだという。 そして著者もその一人になる。 著者がフォーセットの足跡を辿るシーンと、フォ-セットの最後に残した記録がまるで映画のように交錯し、一体フォーセットの手掛かりはどうなったのか、ロストシティは、存在したのか。と一気に読み進んでしまう。 そして、よくできた結末が待っている。 秘境を求める人間の性質はすばらしい。 だからこそ、人類が発展してきたのだと理解できる。

    a246ra
    a246ra 2010/09/16
     「わくわくする本である」
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