チャーリーもいた風景を添えて~ 法外なギャラを出すから、大嫌いなことをまるで大好きなことのように書くことよりも、セクシーではない女をセクシーに書くことよりも、登場人物が百人以上出てくる長編小説を書くことよりも、セロニアス・モンクのことを文章に書くこと、またその論評を更に評し書き著すことが、一番難しいのです。ですが、これだけははっきりと明言できます。本書にも出てきますが、チャーリー・ラウズのテナーサックスが、モンクのメロディを世界中に広げたことだけは、忘れてはいけないことです。チャーリー・ラウズは、モンクがピアノで本当にやりたかったこと、つまり、端正で跳躍する美しいメロディと、その内側で響いている重力の果てのハーモニーのイメージ、モンクの二本の腕をもってしても表現不可能なことを、淡々と可能なものにしました。時には、モンクとメロディを一緒に吹いています。このことは、モンクの音楽を、どんな論評よ
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