奈良県が管理地区に設定した奈良市郊外で夜間に行動するシカ=奈良市奈良阪町で2016年1月24日撮影、県奈良公園室提供 奈良市で保護対象となっている国の天然記念物「奈良のシカ」について、農作物被害対策として初めての捕獲が今夏にも始まる。奈良県が文化庁に捕獲のための現状変更許可を先月申請し、認められる見通しとなった。県は、市中心部では従来通り保護を続ける一方、郊外では頭数管理を進め、人とシカの共生を図る。 「奈良のシカ」は古くから春日大社の「神鹿(しんろく)」として保護され、1957年に旧奈良市一円を保護エリアとして国の天然記念物に指定された。県によると、奈良公園には現在、約1200頭が生息し、観光客らに人気だが、食害も問題となってきた。 1979年には、被害に悩む奈良公園周辺の農家が春日大社などを相手取って損害賠償請求訴訟を起こし(81年に別地域の住民も提訴)、85年に和解が成立。農家が申請
京都府にある大江山一斉登山が28日に開かれる。今年で32回を数える恒例行事だが、親しみ深い大江山連峰に異変が起きているのをご存じだろうか? 新緑がまぶしいはずの草原はいま、ニホンジカが新芽を食べ尽くして枯れ野原になっている。個体数が急増したことが原因だ。地元の住民は「このままでは多様な自然が失われてしまう」と心配している。【安部拓輝】 先月25日、与謝野町の加悦双峰公園から山道を登ると、千丈ケ嶽と赤石岳を望む双峰付近に葉のないササ原が広がった。足元にシカのふんが転がる。「新芽が出るたびにシカが全部食べてしまう。山への影響はクマより大きい。この現実を知ってほしい」。大江山を遊び場として育った青木順一さんは、植物の惨状に危機感を募らせた。
千葉県富津市は20日、ニホンザルを飼育している高宕山(たかごやま)自然動物園(同市豊岡)で、164頭のうち、約3分の1の57頭が特定外来生物のアカゲザルとの交雑種であることが分かり、駆除したと発表した。同県の房総半島では、ニホンザルの生息域で野生化したアカゲザルとの交雑が進んでおり、市が昨秋から同園の全頭についてDNAの調査をしていた。 同園はサルの動物園で、県から許可を得て、ニホンザルの一群を、檻(おり)の中で飼育している。アカゲザルやその交雑種は生態系に悪影響があるとして外来生物法の規制対象になっており、同園で飼うことは認められていない。 ただ、サルが檻のすき間などから外に出てしまうことがあり、園外でのアカゲザルとの交雑が懸念されていた。市は、京都大学霊長類研究所などに委託して調査し、その結果、57頭が交雑種と判明し、駆除したうえで15日に慰霊祭を開いて弔ったという。 アカゲザルは房総
大阪で開かれた街路樹サミットに顔を出した。 東京に続いて2度目の開催だったが、テーマは「今の街路樹の在り方」を問うものだった。 少し気をつけて見れば、大きく伸びた枝をぶつ切りにされた街路樹は数多い。なかには電信柱のように幹だけにされたり、梢さえもぶった伐られたケースも見かける。一方で根がアスファルトを持ち上げるなど不健康な街路樹の管理が目立つ。 そうした「残念な街路樹」に関しては、私も昨年本欄で報告している。 そんな現状に疑問や異議を持つ造園関係者や樹木医、研究者などが集まって開かれたのであった。 そこでは、なぜ無粋な管理が行われるのか、という現場の報告があった。 まず街路樹を管轄するのは、たいていの自治体で土木部門であることだ。なぜなら街路樹は都市緑地と言っても、公園や民間施設緑地ではなく、道路の付属物として設けられているからである。 そのため街路樹の管理も土木業者が請け負うことが多くて
福島県が11月下旬に実施した福島沖の魚介類を対象にした放射性セシウムの検査で、東京電力福島第一原発の事故以来初めて、すべての検体で検出限界値を下回ったことがわかった。県水産試験場は、個体からのセシウムの排出が進んだことや、世代交代で汚染魚が減ったことなどが理由とみている。 検査は事故の翌月の2011年4月に始まり、これまでに186種類、約4万検体を調べた。 当初は国の基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える検体が9割以上だったが、割合は年々低下し、昨年4月以降は基準値超がゼロになった。県漁業協同組合連合会の自主基準値(同50ベクレル)超えも今年5月以降はなくなり、検出限界値(同15ベクレル前後)未満の割合は90%超で推移していた。 検査は第一原発の20キロ圏内…
環境省のレッドリストに指定されているナゴヤダルマガエルを「移住」させた田んぼで育てた無農薬米を、広島市安佐動物公園が11月から販売している。「ダルマガエル米」と名付けられ、収益金を生息しやすい環境づくりに役立てている。 ナゴヤダルマガエルはトノサマガエルに似ているが、足が短く動きは緩慢でダルマのように体がずんぐりとしているのが特徴。東海、近畿、四国地方のほか、岡山、広島両県に生息している。 水田や湿地に生息するが、住宅地化などで埋め立てられ、近年は生息数が激減した。またオタマジャクシの時期に、稲作の主流であるコシヒカリの田んぼでは水をいったん引く「中干し」をすることがあるため、死んでしまうケースが多いという。広島県内では現在、三次市内の2カ所で自然に生息している。
全国各地で冬場の狩猟シーズンが始まり、来年の春先まで野生鳥獣の捕獲が解禁される。シカやイノシシなどによる農作物被害が全国的に増加するなか、銃やわななどを使って野生鳥獣を捕らえるハンターの存在が脚光を浴びている。ジビエ(野生鳥獣の肉)料理のブームを追い風に、女性ハンターの数も増えているという。全国の猟友会員の数は2015年度、前年度比1.1%増の約10万5000人となり、38年ぶりに増加に転じた。高知県在住で狩猟活動を行う傍ら、「これから始める人のための狩猟の教科書」(秀和システム刊)を著した東雲輝之氏が、狩猟現場の実情や直面する課題などについてつづった。 冬の冷たい空気を揺るがす銃声 ある冬の日の午前8時。朝日に照らされて重厚な輝きを放つ散弾銃を握りしめた手に、冷たい山の空気が突き刺さります。そよ風になびく木々のざわめきと、小鳥たちのさえずり。森はいつもと変わらない平穏な時間が流れているか
「ウーパールーパー」の名でおなじみの両生類、メキシコサラマンダーが絶滅の危機にさらされている。 数世紀にわたる開発と汚染が原因で、このユニークな生物は現在、メキシコの首都メキシコシティのいくつかの運河にしか生息していない。ナショナル ジオグラフィックのラテンアメリカ版2016年9月号の特集記事によると、このままでは2020年までに絶滅するおそれがあると科学者たちが警告している。 アステカ時代は崇拝の対象だった メキシコサラマンダーは、大きな外鰓(外側に飛び出したえら)を残したまま成熟する珍しいサラマンダーで、体の一部を失っても再生できる素晴らしい能力を持つ。(参考記事:「メスしかいないサラマンダー、驚きの利点判明」) 15~16世紀のメキシコ中央に栄えたアステカ帝国では崇拝の対象であり、首都テノチティトラン(現在のメキシコシティの原型)の盆地に散らばる複数の湖に生息していた。(参考記事:「
研究成果のポイント 赤外線カメラを用いることで、直接観察の難しい野生動物の日周活動性を8種同時に解明。 哺乳類の日周活動性は夜行型、昼行型、薄明薄暮型、一日中型の4つに明確に区分。 日周活動性は、薄明薄暮型や一日中型では季節変化する一方で、昼行型や夜行型では季節変化しないことが判明。 研究成果の概要 北海道大学大学院地球環境科学研究院の池田 敬日本学術振興会特別研究員(現:国土交通省国土技術政策総合研究所研究官)及び小泉 逸郎准教授、北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の内田 健太氏、森林総合研究所の松浦 友紀子主任研究員及び高橋 裕史チーム長、酪農学園大学の吉田 剛司教授、東京農工大学の梶 光一教授による研究チームは、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネ、ユキウサギ、ホンドテン、アライグマ、タヌキ、エゾリスが明確な日周活動性を示すこと、一部の哺乳類は日周活動性を季節的に変化させることを、カメラ
ポイント 正確かつ迅速にニホンジカとカモシカの糞を識別する手法を開発しました。 ニホンジカとカモシカが混在する地域でのニホンジカ対策の立案に有用です。 本手法は“ニホンジカ・カモシカ識別キット”として2016年9月2日に発売されました。 概要 国立研究開発法人森林総合研究所(以下「森林総研」という)は、糞の表面に付着しているDNAを検出することによって、ニホンジカ(シカ)とカモシカの糞を識別する手法を開発しました。この識別法では、一般的なDNA検査に必要な専門的知識や技術を一切必要としません。シカとカモシカが混在する地域においてシカの捕獲計画等を立てる際に有用です。本識別法に使用する試薬は “ニホンジカ・カモシカ識別キット”として(株)ニッポンジーンから2016年9月2日に発売されました(写真1)。 背景 近年、日本ではシカ(写真2)の個体数が激増し、農林業被害の拡大、自然植生の損失、自動
研究成果のポイント 絶滅危惧種のシマフクロウとタンチョウの営巣地周辺は、非営巣地に比べて森林性及び草地・湿地性鳥類の種多様性が高いことが、膨大な市民データの分析により判明。 シマフクロウとタンチョウの生息地の保全と再生が、営巣地周辺を利用する森林性及び草地・湿地性鳥類の多様性の保全にも寄与することが期待される。 研究成果の概要 高知大学の比嘉基紀助教、森林総合研究所の山浦悠一主任研究員、北海道大学大学院農学院博士後期課程在籍の先崎理之氏(日本学術振興会特別研究員)、北海道大学大学院地球環境科学研究院の小泉逸郎准教授、シマフクロウ環境研究会代表の竹中 健博士、タンチョウ保護研究グループの正富欣之博士及び百瀬邦和氏は、絶滅危惧種のシマフクロウとタンチョウの営巣地周辺は、その他の場所に比べて森林性及び草地・湿地性鳥類の種多様性が高いことを、長期モニタリングと膨大な市民データにより明らかにしました
研究成果のポイント 軽量の小鳥(体重15g)の極東地域の渡りルートを初めて明らかにしました。 北海道の草地性鳥類(ノビタキ)は本州を経由せずに大陸に直接渡っていました。 林業における伐採や下刈作業は開放的な環境を一時的に作り出すことにより、草地性生物の保全に貢献しますが、草地性の渡り鳥の場合、国内だけではなく、海外の渡り中継地や越冬地での保全に対する取り組みも重要です。 概要 国立研究開発法人森林総合研究所(以下「森林総研」という)は、ヘルゴランド鳥類研究所(ドイツ)、ディーキン大学(オーストラリア)、北海道大学、山階鳥類研究所と共 同で、軽量の小鳥(体重15g)の渡りルートを極東で初めて明らかにしました。 東アジアからオーストラリアにかけての南北の区域は世界で最も多くの種類の渡り鳥が生息するにもかかわらず、小鳥の詳細な渡りルートは明らかになっていませんでした。私たちは、ジオロケーターとい
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