調べてみると、猟師の数は半減しているのに、イノシシの数は倍増している。農業被害だけでなく、イノシシと車の接触事故もたびたび起きていた。 「このまま何もしなかったら、離農はさらに進み、集落自体が崩壊する」と危機感を抱いた宮川さんは、熊本県が開催した「くまもと農業経営塾」をともに受講した仲間に呼びかけ、1泊2日の「イノシシを考える農家合宿」を行ったのだ。 集まった若い農家25人は、被害の状況を共有し行き着いた答えは、行政やハンター頼みの駆除ではなく、「災害から地域を守る消防団のように、自分たちで地域と畑を守る活動」を始めることだった。 日本の食の多様性を支えているのは中山間地域の農業だ 2018年度の日本全体の鳥獣被害額は158億円。ピーク時の239億円(2010年度)に比べ、数字の上では減っている。が、「イノシシやシカが減っているわけではなく、“あきらめて農家をやめた畑”と“鉄の壁で囲った畑