私たちは消費期限や賞味期限を気にします。でも、その違いは意外と知られていません。賞味期限が先の商品を棚の奥から引っ張り出す私たちの意識が、食品業界に「3分の1ルール」という独特な商慣習を生んでいます。賞味期限を延ばす技術開発の一方で、期限切れや間近の食品をあえて売る動きも見られます。 期限設定「相当の余裕」 大阪市の雑居ビルの一室。「バッタ屋」の事務所に入ると、8畳ほどの部屋の天井近くまで段ボールが積み重なっています。バッタ屋とは、賞味期限の迫る食品などを仕入れ、市場に安く流通させる卸業者です。今年1月、約5万枚の廃棄冷凍カツが横流しされて流通した問題で、その存在が注目されました。 業者の応接机に、のどあめがありました。1年前に賞味期限が切れています。「さすがに売れんからここにあるけど、全然問題あらへん。試してみたらええ」。社長の言葉に1袋を開け、においをかいで思い切って口に入れました。