デパートを出てから、俺たちは一息つくために駅から出てすぐの所にある喫茶店に来ていた。 チェーン店なのだが、コーヒーの豆にこだわっているらしく、価格が高めであるからか客の年齢層が高く、繁華街の中であるというのに落ち着いた雰囲気であった。 村雨さんと俺は窓側のテーブル席に座った。 俺はホットコーヒーとチョコケーキ、村雨さんは紅茶とモンブランを頼んだ。 「そういえば、佐藤さんはずっと一人暮らしをされているんですか? 」 「はい、大学時代からずっと一人暮らしでした」 前に住んでいたあのワンルームのアパートには、大学入学を機に住み始めたのだった。最近、村雨さんがやって来てから今のマンションに引っ越すまでの8年もの間、あのアパートに住んでいたということになる。 「そうなんですね! それでは、ご家族の方は寂しがっていそうですね」 「いやぁ、どうでしょうね…… 俺、実家では浮いてましたし…… 」 俺は苦笑