ギリシアが危機を迎えてから数年が経過したが、欧州の危機は依然として沈静化しない。一過性のものではないこの危機は何に起因しているのか、欧州の特徴がこの危機の発生や対応にどのように表れてきているのか、これから解決に向かうのか、日本との関係を含め、欧州の将来はどのようになるのか、について最新のEUの情勢を踏まえて解説する。 EUは、原加盟国6カ国から順調に拡大を続け、2007年には27カ国となりました。拡大にともなってGDPは成長し、米国を超える規模になっています。これは、域内需要の増加と、東欧の新興国を取り込むことで安価な労働力が流入し、供給サイドの競争力が高まったこと、さらにこうして城壁に囲われた大きな市場を狙った投資が流入して経済を活性化させてきたわけです。つまり、経済成長を支えてきた最大のポイントは、拡大を続けてきたところにあります。 ユーロ圏も現在17カ国に拡大しました。こうした巨大な