1929年秋田市に創立された北方教育社を拠点として,東北地方で展開された生活綴り方を中心とする教育運動。この運動に参加した教師たちは,生活綴り方を方法の中心に,窮迫した東北農村の生活現実に根ざす教育実践を展開した。 34年には東北地方を襲った大凶作を契機に北日本国語教育連盟を結成し,翌 35年『教育・北日本』を発刊,盛んな生活意欲と生きた生活知性をもった子供の育成を目指したが,第2次世界大戦時下の弾圧に屈した。 …編集兼発行人の成田忠久を中心に同地方の綴方教師滑川道夫や佐々木昂らの同人組織として,実践記録や創作のほか,児童作品の批評,学校文集の紹介などを行い,教育のリアリズムや生活と表現の問題を論じた。北方教育社の教育改造運動はこの雑誌およびサークル活動・研究会を通じて県外グループとの交流が広がり,34年11月の北日本国語教育連盟結成の軸となるなど〈北方性教育運動〉へと発展した。ここでいう