博物館法改正に求められるもの。これまでにない研究費と交付金の新設を2月22日に閣議決定された博物館法の改正案。金沢美術工芸大学で博物館学の教鞭をとる渋谷拓が、この改正案を起点にし、今後の博物館振興策に求められるものを説く。 文=渋谷拓 Photo by Scott Webb on Unsplash 博物館法改正案について──「博物館活動研究費」と「博物館連携交付金」の新設を希望する インセンティブ抜きの博物館登録制度の改正 令和4年2月22日に閣議決定された今回の博物館法改正案では、博物館登録制度における設置者要件が改められることとなった(*1)。「登録博物館」たることの新しいインセンティブが示されないまま、である。登録制度に関する限り、改正案の大筋は、これまで設置者要件に合致しなかったために博物館相当施設等でしかなかった館に、登録博物館となる道が開かれるというだけの話になっている。登録博