居酒屋の始まりは酒屋と煮売り屋から。 時代考証の権威、三田村鳶魚(みたむら・えんぎょ)さん(1870−1952)によれば、居酒屋ができたのは、江戸中期の元禄を過ぎて寛政年間ころからといいます。まだ外食という考えさえなかったと。居酒屋は煮売り屋からとするのが定説ですが、ほかにも、千住板橋の近江屋酒店のように「れっきとした大店が,一升酒を売るのは見識にかかわる!」というので、近くの別店か、あるいは店を仕切って区別して小売をはじめたんですね。 煮売り屋にせよ、酒屋にせよ、「ちょっとしたサカナも・・・」となるのが自然であります。すると、どちらも居酒屋になっていきます。煮魚、酢タコ、レンコン煮物、サトイモ煮ころがし、などを砂鉢砂皿に盛り、客は好みでとりわける。 どうやって支払ったかは不明ですが、銅のチロリをわきに、醤油樽なぞの腰掛け、片足だけを上げた、矢大臣という座り方を決め込んでいるところが浮世