第三部「換骨奪胎」メディア汚辱の半世紀 電網木村書店 Web無料公開 2004.2.9 第十三章「独裁主義」の継承者たち 1 「ワンマン正力」の後継者決定の七か月の骨肉の争い 正力没後の読売の社長は、務台、小林、渡辺と、すでに三代を経ている。 いずれの場合も、読売の経営上では個人的な独創を生みだすことができなかった。すべて正力の延長線上の亜流に終始している。部数のうえでは、三大紙の順序が「読・朝・毎」に逆転したが、それも従来のままのヤクザ拡張販売の結果だ。事実上の「押し売り」によるガリヴァー化であって、何ら自慢の種にはならない。 読売は、戦時体制下で「中央紙」の位置を確保した。しかし、朝毎と並ぶ「全国紙」となるためには、戦後に、関西の大阪本社、九州の西部本社など、各地への進出拠点を築く必要があった。だが、それらの経過は、本書の目的とする読売の歴史的本質の解明とは、とくに関係がないので省く。