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ブックマーク / taknakayama.hatenablog.com (5)

  • ブルックナーの風景(3): ベルヴェデーレ宮殿 - 横浜逍遙亭

    ウィーン旧市街のすぐ外に広がるベルヴェデーレ宮殿は、かのプリンツ・オイゲンが18世紀初頭に作らせた夏の離宮で、今回訪れた場所の中では美術史博物館とともに最も観光地らしい観光地でした。どんよりと雲が垂れ込めた朝の9時少し前に宮殿入口に着くと、開館を待つ韓国人観光客の大団体がおり、賑やかにおしゃべりをしています。スペイン語やスラブ系の言語が聞こえ、100人を超える韓国の団体には到底及びませんが、それでも目立つ日のグループも一つ、二つと数えられます。 何故ここへ来たのかと言えば、ブルックナーが死ぬまでの1年少々をこの宮殿の一角で過ごしたからでした。足腰が弱り、5階にある自宅からの外出が難しくなったブルックナーは、周囲の人々の配慮と時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の計らいで、ベルヴェデーレ宮殿に住居を与えられたのでした。ブルックナーが戸口で歓談をする有名な写真があります。これがベルヴェデーレで撮ら

    ブルックナーの風景(3): ベルヴェデーレ宮殿 - 横浜逍遙亭
  • 小澤征爾の最新録音を聴く - 横浜逍遙亭

    新聞広告で発売を知って、次の日には読み始めた小澤征爾・村上春樹著『小澤征爾さんと、音楽について話をする』は、久しぶりに、読み終わるのがもったいないという気分に包まれながらの読書となっただった。 そのの6つのパートにわかれたうちの第2章にあたる部分が『第二回 カーネギー・ホールのブラームス』で、昨年、小澤さんとサイトウ・キネン・オーケストラがカーネギー・ホールでブラームスの交響曲第1番を演奏した録音を聴きながらの二人のおしゃべりが収録されている。その冒頭で村上さんは次のように語っている。 もう二十五年も前になりますが、あれも見事な演奏でしたね。音がどこまでも美しくて、音楽が目の前に鮮やかに立ち上がってきた。響きが今でもまだ耳に残っているくらい。でも正直言って、今回の方が更にすごいという気がしました。特別な何かがあるというか、ほかではまず見受けられない一期一会ともいうべき緊迫感がみなぎって

    小澤征爾の最新録音を聴く - 横浜逍遙亭
  • 迷子になる夢を見た - 横浜逍遙亭

    迷子になる夢を見た。 拳銃を手にした悪人やゴジラに追いかけられる夢、高いところから落ちる類の悪夢は子供の頃から数えきれないほど見てきたし、これから行くはずの場所に辿り着けない夢も定期的に見る。楽しい旅行に行く途中なのに、なかなか乗るはずの電車に乗ることができないというような。でも、自分の家に帰られない夢を見たのはおそらく生まれてはじめてなのじゃないかと思う。 夢の中で僕は数日間の仕事の旅から帰宅したばかりらしい。そこに友人のカワイ君が現れ、昔ながらの喫茶店のような、あるいは庶民的なバーのような体裁の店に連れて行かれる。明日から一緒に遊びに行こうと誘われるのだが、会社がある。「明日は仕事だから」と断ると、「なんだ、出張から帰ってきたばかりでもう仕事に行くのか?」と怪訝な顔をされてしまう。 夢の中で僕は、そんなこと言われても困るよと、それ以上の答えに窮してしまうのだが、目覚めたあとで、そのやり

    迷子になる夢を見た - 横浜逍遙亭
    atashi9
    atashi9 2015/01/13
    操作の影響っぽい
  • 青柳いづみこ著『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』 - 横浜逍遙亭

    青柳いづみこの『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』は興味深い読書だった。を手にとった際の期待を裏切るという点では失敗作と呼びたい出来だし、それが言い過ぎだとしても、これは演奏家論としてはせいぜい佳作というにとどまる程度の内容じゃないだろうか。もちろん、そこには著者の青柳いづみこさんの力量からすれば、という但し書きがはさまるのだけれど、『ピアニストが見たピアニスト』を読んだ読者としては、こういうを想像してなかったもので、若干の肩透かしである。 何が物足りないと言って、当の演奏家に関する情報量があまりに限られている。これは著者と出版社には「お気の毒に」と言いたくなるような話なのだが、当のピアニストと合意して出版の企画が成立し、取材をし始めても情報が集まらないのだから仕方がない。何故かと言うと、ピアニストがたいへん扱いにくい人物で、人からの情報が想像していたようには引き出せないのだ。 青柳

    青柳いづみこ著『アンリ・バルダ 神秘のピアニスト』 - 横浜逍遙亭
    atashi9
    atashi9 2014/11/01
  • ジョナサン・フランゼン著『フリーダム』 - 横浜逍遙亭

    『フリーダム』(訳:森慎一郎)は、数年前に出たアメリカ人作家ジョナサン・フランゼンの作品で、ニューヨーク生まれのヒロインが家族との関係がうまくいかずに故郷を離れて中西部で大学以降の生活を送り、夫と知り合い、その友人と三角関係に陥り、子どもや兄弟との関係構築を苦労し、といった家族間の葛藤、軋轢を、ヒロインの視点、旦那の視点、息子の視点など章ごとに異なる複数の視点で30年越しに見つめていく物語。洒落た表紙に惹かれて手にとってみた。ちなみに原著も日版も同じ体裁なので、供給者のジャケ買いの企みに乗せられたということかもしれない。 ヒロインはバスケットの花形選手だった高校生の時に男子生徒にレイプされる。しかし、人権派の弁護士である父親と民主党の地元政治家である母親は、加害者の親の社会的地位をおもんばかってヒロインに泣き寝入りを強いる。この不幸が自分に対して深いところで無関心な両親に対するヒロインの

    ジョナサン・フランゼン著『フリーダム』 - 横浜逍遙亭
    atashi9
    atashi9 2014/07/23
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