政府は東京電力福島第1原発事故を受けて設置を決めた「原子力規制庁」の4月1日発足を断念した。野党側が「政府からの独立性が不十分」などと反発し、同庁設置法案の国会審議入りのめどが立たないためだ。発足が5月以降にずれ込む可能性もあり、信頼を失った現行体制での原子力規制が当面、続くことになる。関西電力大飯原発3、4号機(福井県)再稼働の判断にも影響を与えそうだ。 政府は1月末、規制庁を環境省の外局として、4月1日に設置する法案を国会に提出した。事故後、原発を規制する原子力安全・保安院が、推進する経済産業省の中にあることへの批判が噴出したため、経産省から「規制」当局を分離し、環境省に移すことにした。枝野幸男経済産業相は27日の記者会見で「エネルギー需給と原子力安全を所管する大臣が同一人物という状況が長く続くのは望ましくない」と述べ、規制庁の早期発足への理解を求めた。 しかし、自民、公明両党は「人事