全国の自治体職員らが、北海道夕張市の財政破綻(はたん)問題を現地で考えようという地方自治研究全国集会の特別分科会が17日、同市で始まった。現職の夕張市幹部が「内側から見た破綻の経緯」を語り、「苦悩の胸の内」を明かした。 報告に立ったのは、前市職労委員長の寺江和俊・総務課長(47)。 市の財政破綻は、新聞やテレビで「地方の無駄遣いの象徴」として取り上げられた。しかし、一方的な見方しかしない一部の報道には反発を感じたり、「不適正な会計処理」を強調した「自己責任論」には違和感を感じたりしてきたという。 破綻は観光事業への過剰投資が引き金になったものの、炭鉱閉山の後始末や市民生活直結の住環境整備への投資、国の三位一体改革による地方交付税の激減など、背景に多くの要因があったと指摘。「市職員の多くは当時、基幹産業撤退後のまちの生き残りをかけ、国も認めた観光都市への転換の前線で懸命に努力していた」