「うちの会社では役職定年になったら、支店に異動になる。なので55になったら、自動的に地方に転勤です。賃金は、今の7割くらいになってしまいますけど、とりあえず60まではそのままいられる。“エルダーさん”っていうんですよ。表向きは、『年上の社員に、敬意をこめた呼び名』ってことになってるんですけど、なんか……ですよね」 エルダーさん――。 大手金融関連企業に勤めるこの男性の会社では、役職定年になった社員を、こう呼ぶのだという。 「昨日まで部長だったんだから、今さら〇〇さんとは呼べないしなぁ」 「シニアスタッフって呼ぶ会社は多いみたいだけど……」 「シニアより、エルダーのほうがいいんじゃね?」 「んじゃ、敬意も込めてエルダーさん?」 そんな会話があったかどうかは知らないけれども、要は、「あなたは、現役ではありません」と言いたいだけ。しょっぱなから、つっかかり気味で申し訳ない。 “エルダーさん”なん