私はアカデミズムの場でフェミニズムに携わる若年フェミニストとして、フェミニズムに対して違和感を抱き続けている。フェミニズムによって私自身が救われた経験を持ちつつも、何か、やり過ごせないひっかかりが残る。この違和感はいったい、何なのか。 「フェミニズムに対する違和感」が、異議申し立てや反動などの形で現れたのは、最近のことではない。海外に視点を移せばフェミニズムに対する批判は、もっと以前から展開されてきた。1980年代のアメリカにおいて、「フェミニズムは白人高学歴女性の諸権利を拡大していくもの」という異論を唱え、「ブラックフェミニズム」としてその意義を唱えていこうとした1人に、ベル・フックスがいる。彼女の著書『ブラック・フェミニストの主張──周縁から中心へ』から、当時彼女がどれほどの勇気を持って、黒人女性として声を上げていったのかがうかがえる。白人のフェミニストたちについて、フックスは次のよう