松林靖明さん(1942-2016)の遺稿集『中世の戦乱と文学』(和泉書院)が出ました。松林さんは承久記や後期軍記の研究に邁進される一方、甲南女子大学の学長も務め、一昨年4月に現役のまま亡くなりました。母校の後輩も育て、後期軍記の共同研究チームを率いて、教え子も育て上げ、傍目からは羨ましいような生涯でした。 本書には①古典教材としての平家物語、②承久記、③室町・戦国軍記という3本の柱があり、①はもし御自身に時間があったら、画像や他の軍記との比較などを書き加えて、一般向けの1冊になったかもしれません。 ③は、前著『室町軍記の研究』(和泉書院 1995)と共に松林さんのライフワークで、所在情報の整理すら手つかずだったこの分野に、笹川祥生さんと共に鍬を入れた功績は大きい。後期軍記は、事実との関係や異本のあり方など、平家物語とは全く異なる状況を背負っていますが、それゆえに興味をそそられます。対照的な
これを言うとその筋の人からは驚かれる(呆れられる、が正しいかw)のですが、私はかつて古本屋を巡りながら、一年かけて日本古典文学大系(岩波書店 全102冊)をバラで買い進めて全冊揃えたことがあります。 なんでこんなことになったかというと、もともと『古事記 祝詞』とか『源氏物語』とか、奈良〜平安に属する部分を25冊ほどバラで持っていたわけです。だけど、やはり全部揃えた(あの有用な『日本古典文学大系索引』2冊を含めて)ほうが良いなと思いつつ、すでに全体の四分の一を所有しているのに、一括でまとめて買うのはもったいないな、と。 今に比べて時間的な余裕もありましたし、使命感に燃えた(?)古本屋巡りも楽しかったです。探しているものが丁度売られていたのを発見したときの喜びといったら・・・。日本古典文学大系第二期のものは発行部数が第一期に比べて少なかったために、古本屋にもあまり出回らず、総じて探すのに苦労し
The story of a team of ancient book restoration experts working diligently in the provincial library of northeast China's Heilongjiang Province is a story worth telling, as Monday marked World Book Day, or World Book and Copyright Day. More on: http://www.cctvplus.com/news/20180424/8079086.shtml#!language=1 Welcome to subscribe us on: Facebook: https://www.facebook.com/NewsContent.CCTVPLUS Twi
中世ラテン世界の宇宙観、すなわち当時の自然科学に関する認識を知る手がかりとして『天球について』という本があります。この本は、長い間自然科学を学ぶ学生の教科書として親しまれてきました。三村先生は、膨大なアラビア語の文献を調査して、この本の真の著者を発見しました。 Mimura, Taro. The Arabic Original of (ps.) Māshā’allāh’s Liber de orbe: its date and authorship. The British Journal for the History of Science. 2015, vol.48, no.2, p.321-352. 中世ラテン世界にアリストテレス自然学とそれに基づく宇宙観を伝えた最初期のラテン語作品として、中東地域を支配したアッバース朝(750-1258)の宮廷占星術師マーシャーアッラーフ(800年
2018年03月28日23:13 カテゴリ幻妖日録 〈文豪ノ怪談ジュニア・セレクション〉は、こんな本。 〈文豪ノ怪談ジュニア・セレクション〉は、児童書を中心に出版している汐文社から依頼されて、企画・編纂した全5巻のアンソロジー・シリーズです。 メイン・ターゲットは10代の読者。つまり小学校高学年から大学の1~2年生を想定しています。 全巻の収録作品を上に掲げました。 ご覧のように、日本の近現代文学の中から、後に「文豪」と敬愛の念をこめて呼ばれるようになった作家たちの怪談文芸作品を、テーマごとに精選して収録しています。 また巻末には「幻妖チャレンジ!」というコーナーを設けて、江戸時代以前の古典文学の中から、怪談文芸としてぜひ接してみていただきたい名作を、原文と現代語訳の両方で収録しています。 本書には類書にない大きな特色があります。 それは、本文の漢字すべてにルビ(=よみがな)を振ったことと
公家の柳原(やなぎわら)家は、歴史や文学の知識をもって天皇家につかえた伝統を持つ家で、鎌倉時代以来、代々朝廷の要職に任ぜられてきました。当館有する旧蔵資料には、政務記録や和歌・文学作品など、実に多種多様な文(ふみ)があり、貴族の政治・文化をあますところなく伝えています。本展では、公家が大切に伝えてきた蔵書の魅力をご紹介します。 会期 2018年4月14日(土)〜2018年6月24日(日) 料金 入場無料 チラシはこちら(1.8MB)。 展示品目録はこちら。 展示の見どころはこちら。 関連イベント 展示解説はこちら。 古文書講座はこちら(※5/26・27は予約満席。6/16に追加開催)。 岩瀬文庫講座(講師田島公氏)はこちら。 章立て 1章 文人貴族(ぶんじんきぞく) 2章 蔵人から公卿(くぎょう)へ 3章 和歌(やまとうた)の道 4章 文庫(ふみくら)のいろどり 5章 故事(ふるごと)の探
神保町の旧・岩波ブックセンター跡地に、本を中心に人々が集い新しい知識・新しい仲間に出会える、本と人との交流拠点「神保町ブックセンター with Iwanami Books」がオープンします。 まちづくりにつながる事業企画、建築設計、店舗運営を行うUDS株式会社(所在地:東京都渋谷区 代表取締役社長:中川敬文 以下UDS)は、2018年4月11日、東京・神保町の旧・岩波ブックセンター跡地に、書店・喫茶店・コワーキングスペースの複合施設「神保町ブックセンター with Iwanami Books 」(以下、神保町ブックセンター)を開業いたします。 世界有数の「本のまち」神保町に誕生する神保町ブックセンターは、岩波書店アネックス内の旧・岩波ブックセンター跡地をUDSが貸借し企画・設計・運営を行うプロジェクトです。本を中心に人々が集い、新しい知識・新しい仲間に出会える、神保町における「本と人との交
文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社 日本語・日本文学の研究書を中心に、人文学書全般を刊行する出版社、文学通信のブログ。 文学だけにこだわらず周辺領域も含め、意欲的に刊行していきます。 出版活動と同様に、webでも積極的に活動することで、多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出していきたいと思います。 〒113-0022 東京都文京区千駄木2-31-3 サンウッド文京千駄木フラッツ1階101 電話03-5939-9027 FAX03-5939-9094 info@bungaku-report.com インボイス登録番号:T4011501023591 ホーム ブログ 高山寺典籍文書綜合調査団『高山寺典籍文書綜合調査団研究報告論集』が、汲古書院(バックナンバー全て)と山喜房仏書林(『平成28年度』号・平成29年3月発行分以降)にて販売開始【付・高山寺典籍文書綜
わすれもの、うせものがたえない毎日を送る忘却散人(飯倉洋一)のブログです。2008年3月スタート。日本近世文学。 軽い読み物として、推敲もなしに書いていますので、学術論文などへの引用はお控えください(どうしてもという場合は、事前にコメント欄にでもご連絡下さい)。エッセイなどでの引用やSNSなどでのリンクはご自由にどうぞ。 石水博物館が近世期伊勢商人の書物交流や読書意識を明らかにする資料の宝庫であることは、これまでの調査報告からすでに明らかであるが、またまた好資料が紹介された。 早川由美さんの「資料紹介 川喜田石水「みたき本」目録-近世期地方知識人の書物意識」(「叙説」第45号、2018年3月)である。 幕末から明治を生きた伊勢商人の川喜田家の当主、石水文庫の「石水」の由来でもある石水の教養の基盤のようなものが窺える。蔵書目録ではなく「見たい本目録」というのも珍しいが、むしろ、こちらの方が、
『上宮聖徳法王帝説』(岩波文庫)旧版と改版 - Cask Strength 『上宮聖徳法王帝説』の書名中「帝説」の語が難解なので、これは「帝記」の誤りではないかという説があって、これはこれで割と有力なのですが、太田晶二郎「『上宮聖徳法王帝説』夢ものがたり」はもう一説を立てています。 本書の記者は、聖徳太子の御事を輯録しようとし、主題を顕す「上宮聖徳法王」の六字を巻首に掲げた。次に、御系譜を最初に載せるので、その部分だけについての標目として「帝記」の二字を記した。即ち六字・二字別個であったが、写し誤りで一続きにされ、似而非なる書名が出来てしまった。本書の本名を必ず求めようとならば、「上宮聖徳法王」がそれである、と。 (『太田晶二郎著作集 第二冊』(吉川弘文館、1991年)2頁。初出1960年) これとは全く関係ないというか、「説」字の繋がりで一つ苦い思い出がありまして、昔とある文献に「春秋説
来月刊行予定 → http://www.iwanami.co.jp/topics/annai/annai.pdf(pdfファイル直リン) 楽しみですね!今回わざわざとりあげたのは、旧版も話題にしたこと(もう8年近くも前か・・・)があったからです。『上宮聖徳法王帝説』(第三刷)・付正誤表 - Cask Strength 大変読みづらいですし、今にして思えば正誤表を丸ごと転載するのもいけなかったかもしれませんが、とりあえずそのままにしておきます。 ところで、今回の新刊案内では『上宮聖徳法王帝説』の底本が何かわからないので、大いに気になっています。旧版は「平子尚氏自筆の上宮聖徳法王帝説【狩谷望之証注・平子尚補校】」本でして、狩谷望之(棭斎)と平子尚(鐸嶺)の注釈も本文に取り込んだ上で、それを読み下して校注を付すという非常に便利な体裁でした。なので、知恩院本の影印やそれを底本にした研究書はあるので
2024.5.1 祈りとしての学術研究とNPO実践 最近、死について考えることが多い。 昨年の夏に母を亡くし、秋には従兄弟が知らないうちに亡くなっていた。 そして、今年の正月明け、義母は緊急搬送され入院後1週間で亡くなった。 正月には妻の実家で和やかに […] 2024.4.1 第120回 門田岳久『宮本常一 〈抵抗〉の民俗学』 門田岳久『宮本常一 〈抵抗〉の民俗学: 地方からの叛逆』(2023年、慶応義塾大学出版会) 今月から、NORAの立ち上げメンバーの1人で、佐渡に移住して20年以上になる十文字さんが、新しいコラムを書き […] 2024.4.30 第188回 やっぱ、うなっちゃった 「これは?なんですか?」 「これね。これは、白菜の花なんですよ。」 「えー、こんな黄色い花が咲くんですね。」 「畑で白菜の花が咲いたら、それは、栽培の失敗なんだけど、、、 実は、この菜花、咲く前のこの
未刊 図解 文字のカタチ―筆跡の日本文化史― (ずかい もじのかたち ひっせきのにほんぶんかし) 馬場基・井上聡・高田智和編 本体予価2,000円+税 初版発行:2018年春刊行予定 A5判・128頁 ISBN 978-4-8406-2221-9 C0021 新視点! 文字の図像から読み解く日本文化史 【内容説明】●カタカナがなぜ誕生したのか。同一人物なのに筆跡が違うのはなぜか。どのような筆記用具を使ったのか。 ●全128頁はフルカラー。50点をこえる図版・イラストで、だれでもすぐにわかる。 ●古代から近世まで、木簡・古文書・古典籍など、あらゆる史料に書かれた文字の図像を読解。 ●文字を扱う研究所に所属する歴史学・考古学・国語学・情報処理学の研究者が一同に集結し協業。 ●前近代の文字に関心のある一般読者(日本歴史・日本語史・日本文学史・書道史・書誌学等)必携。 ●文字史料が読めなくても、文
木曜日。 やっとぽかぽかと春らしくなってきたかと思ったら、また寒さがぶり返してきました。 寒さは戻ってきても、「三月」はもう戻ってこないって、毎年同じこと言っていますね。 三月は、ともかく「執筆」に集中できて、それはそれで楽しい毎日です。 でも、いよいよ追い込みで、執筆のあとは、ゆったりウイスキー飲んで、 お楽しみ読書…、なんていう余裕もありません。 ということで、このところ、夜中にちびちび飲みながら、執筆なんてことに。 ぐいっと飲むと酔っ払ってしまい「執筆」どころではなくなりますが、 ちびちびやりながらの執筆は、意外とはかどるかも…。 そしてちょうど「閉店」のときは、いい気持ちで、速攻で眠れます。 しかし、熱が入ってきて思わずキーボードを強く叩きすぎるので、 あいかわらず指がひりひり。とくに僕の場合、中指が痛くなる(笑) 妻に言ったら、中指のことが、いつのまにか「アメノミナカユビさん」に
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