本書『住友銀行秘史』は、日本における「戦後最大の経済事件」と言われたイトマン事件を、銀行側からの証言で綴った貴重な資料である。当時、自分は住友銀行東京本店の隣に位置する銀行で残業しながらヒーヒー言っていたが、まさか隣でこんな壮絶な出来事が繰り広げられていたとは…。自分はつくづく子供だったと思う。 バブルを経験していない若い人には理解できないかも知れないが、1997-98年の大蔵接待汚職事件を契機に大蔵省から金融庁と証券取引等監視委員会が分離独立するまでは、銀行というのはかなり恣意的な(ずさんな?)融資を行なっていたのである。 そして、新しい資本市場や金融規制の流れを理解しないで、いまだに旧態依然とした経営を行なっている古い体質の大企業が不正経理問題などで次々と馬脚を現しているのは、必然の流れと言えるだろう。もはや「時代は変わった」のである。 1990年前後に起きたイトマン事件を覚えているの
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