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ブックマーク / honz.jp (28)

  • 『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ

    作者: 望月 昭秀,小久保拓也,山田 康弘,佐々木 由香,山科 哲,白鳥兄弟,松井 実,金子 昭彦,吉田 泰幸,菅 豊 出版社: 文学通信 発売日: 2023/4/28 今やあまりお目にかかれない書籍が出た。書は、2021年4月に出版された竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)への反論である。それも、明確な事実と論拠に基づいて真っ向からメッタ斬りにする、恐ろしく肝の据わった一冊だ。 まず、当時の『土偶を読む』現象をおさらいしよう。同書は刊行直後からNHKを中心とする各メディアで注目を集め、SNSでも紹介記事や書評が大きくバズり、脚光を浴びた。人類学者が独自の見識から打ち立てた「土偶の正体は縄文人の用植物」説をイコノロジー(図像解釈学)で次々に解き明かしていくその内容は劇的かつ鮮やかで、養老孟司氏を始めとする著名人らの好評も後押しし、半年で六刷のベストセラーとなる。 極めつきは第43回サント

    『土偶を読むを読む』縄文研究の最前線を伝える、肝の据わったまたとない反論本 - HONZ
  • 『おもちゃ』彼女が転落した理由 - HONZ

    この人をみるたびに、「アンバランス」という言葉が思い浮かぶ。元参議院議員の河井案里である。芸能人や文化人にもアンバランスな人は多いが、そうした人々特有の才能の過剰さからくるバランスのなさと、彼女から感じるそれはニュアンスが異なる。 人目をひく派手な外見ながら、どこか無理をしているような雰囲気があるところがバランスを欠いた印象を与えるのかもしれない。書を読んでその印象があながち的外れではなかったと知った。書は生きづらさを抱えたひとりの女性の「転落」の物語であると同時に、この国の政治のどうしようもなくダメな部分を炙り出す一冊である。 河井案里は2019年7月に行われた第25回参議院通常選挙で定数2の広島選挙区から立候補し、第2位の得票で初当選した。夫の克行も9月に安倍内閣の法務大臣に就任し、夫婦でわが世の春を謳歌していた。 ところが案里の当選から3ヶ月後、「週刊文春」がウグイス嬢の「違法買

    『おもちゃ』彼女が転落した理由 - HONZ
  • 過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 - HONZ

    過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 この『ゴーイング・ダーク』は、イスラム聖戦主義者やキリスト教原理主義者、白人のナショナリストや極右の陰謀論者、過激なミソジニストたちの組織など、12の過激な主義主張をかかげる組織に著者が潜入したさまをつづるルポタージュである。 潜入が実施された期間はおおむね2017年から18年にかけての2年間で、その間に著者はオンライン活動への参画を中心としながら、そうした組織の裏側でどのような活動や勧誘が行われていて、彼らがどんな思想を持っているのかをつぶさに見ていくことになる。 著者が潜入するのは初心者にもハッキング講座を施してくれる、親ISISのハッキング組織から白人ナショナリストなど過激な思想を持つもののみが参加できる特殊なマッチングサイトまで様々だが、そこには共通する人間の傾向や勧誘の手口が

    過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 - HONZ
  • 医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ

    徳田虎雄。その名を聞いたとき、どのようなイメージが思い浮かぶだろう。医療に風穴をあけた風雲児、潤沢な資金をバックにした金権政治家、あるいは、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う患者だろうか。それは世代や立場によって大きく異なってくるに違いない。いや、そもそも若い人には、その名さえ知られていないかもしれない。 まったくの徒手空拳から、昭和48年、大阪の松原市に建設した徳田病院を皮切りに、徳洲会病院を全国に開院。「徳洲会事件」によりすでに経営者の座を追われたといえ、71の病院と約3万人の職員を擁し、グループ全体で4,200億円もの売上げを誇る、日最大にして世界屈指の病院グループの礎を築いたのが徳田虎雄だ。 その一代記であるこの、面白くないはずがない。まずは冒頭のシーンで度肝を抜かれる。医療界の話のはずなのに、山口組傘下のヤクザ-警察がいうところの暴力団-の「事始め」の儀式から始まるのだ

    医学界の「怪物」、その壮絶なドラマ『ゴッドドクター 徳田虎雄』 - HONZ
  • 日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ

    の科学は失速している。一昨年の3月、ネイチャー誌に掲載されたレポートは大きな反響を呼んだ。一般の人たちには驚きを持って迎えられたようだが、多くの研究者にとっては、やはりそうかという感じであった。 『誰が科学を殺すのか』は、企業の「失われた10年」、「選択と集中」でゆがむ大学、「改革病」の源流を探る、海外の潮流、の4章から構成されている。毎日新聞に掲載された「幻の科学技術立国」シリーズが元になっただ。 大学に関しては、行きすぎた選択と集中、地方国立大学の疲弊、若手研究者の待遇の悪さ、博士課程進学者減少などが紹介されており、内部で実感していることと完全に一致する。 どのテーマについても、客観的かつ冷静な記述と考察がなされている。わかっているにもかかわらずマスコミがなかなか書かなかったiPS細胞関連予算の問題点についても、果敢に踏み込んでしっかりと書かれている。 ネイチャー誌の記事以来、論

    日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』 - HONZ
    custardtarte
    custardtarte 2019/12/13
    誰がも何も、自民党が推し進めてきた政策のおかげなんだから。自民党が殺した。それだけ
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
    custardtarte
    custardtarte 2019/04/20
    学校じゃないけどミリシタでアイドルに掃除させるのも個人的には違和感があるのよね
  • 『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ

    裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナ

    『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ
  • 『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』大川小学校の悲劇。あまりにも複層的な物語 - HONZ

    リチャード・ロイド・パリーの新刊である。そう聞いただけでピンときた人はよほどのノンフィクション好きか、あるいはHONZファンであろうか。英《ザ・タイムズ》誌アジア編集長、東京支局長でもある著者は前作『黒い迷宮』で2000年におきた英国人女性ルーシー・ブラックマンさん殺害事件を追い、日の歓楽街の闇の一面を見事に描き出した。HONZでも話題騒然となり内藤編集長が著者インタビューを敢行している。 そんな彼が今回題材に選んだのが東日大震災。それも釜谷地区という小さな集落でおきていた、ある「悲劇」に焦点を当てながら、日にとって戦後最大の危機であった、あの災害を丹念に取材し描き出していく。 東日大震災では様々な出来事が極めて複層的に起きているため、震災直後から現場に急行し、現地に留まりながら取材を重ねている著者は、常に焦点が定まらないような感覚に襲われていたという。そんなとき、宮城県石巻市にあ

    『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』大川小学校の悲劇。あまりにも複層的な物語 - HONZ
  • オリンピックに翻弄されたくなければ読むべし──『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』 - HONZ

    東京オリンピック・パラリンピックの大会運営費用や会場整備費用は、当初見込んでいた3013億を遥かに超えて総予算の計上は現時点ですでに2兆円を超えている。東京都民としては「おいおい、話が違うじゃねえか」と呆れるほかないところだが、いったい”オリンピックを運営する”、その裏側ではどのような力学が働いていて、”なぜこうなってしまうのか”。 書『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』は、そもそも現代のオリンピックがスタートした瞬間からはじまって、オリンピックの歴史を追うことで、その当の経済効果、開催することによるリスク、裏側でどのような陰謀や金が渦巻いているのか──といった政治と利権の構造を明らかにする一冊である。たとえば、特に21世紀に入ってからはオリンピックの運営費は当初の見積もりから数倍〜数十倍に膨れ上がるのが常態化しているが、その原因のひとつには、正直に費用を提示してしまうと、国民

    オリンピックに翻弄されたくなければ読むべし──『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』 - HONZ
    custardtarte
    custardtarte 2018/01/31
    オリンピックは時代の要請に合わないほど肥大化してしまったイベント。少なくとも自分の住む街には不要だ
  • 『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち - HONZ

    1941年12月8日に始まり、45年8月15日に終結した、アジア・太平洋戦争は日だけでも軍人・軍属230万人、民間人80万人、計310万人もの犠牲者を出した。当然ながらこの戦争は様々な視点から多くのことが論じられてきた。書は過去の議論を踏まえた上で、3つの問題意識を重視しながら先の大戦を見直すことを目的としている。では三つの問題とは何か。一番目が、戦後歴史学を問い直すこと。二番目が、「兵士の目線」「兵士の立ち位置」から戦争を見つめ直す。三番目が悲惨な戦場の現実と帝国陸海軍の軍事的特長との関連性を明らかにすること。 書を読んだ感想としては、二番目と三番目の目的は見事に達成している、というものだ。実際に戦場で戦った兵士達の現実を私たちの前に描き出す事に成功している。そして、三番目の軍事的特長もストンと腑に落ちるものがある。また、新しく知る日軍の実態にも驚くべきものがあった。 書の著者

    『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち - HONZ
  • 『家族をテロリストにしないために イスラム系セクト感化防止センターの証言』「取り込み」はいかにして行われているのか - HONZ

    実際にテロ組織に加入しようとする若者を引きとめたり、社会への復帰を支援したりといった活動を行う「イスラム系セクト感化防止センター(CPDSI)」の創設者によって書かれた1冊だ。 著者はセンターを創設した2014年4月から2015年末までに、1134人の若者を支援してきた。活動の現場で目の当たりにした事例と、得られた知見がまとめられたのが書である。 著者らは相談者である親と連携し、子どものパソコンの中身や録音された電話の通話内容を調べ、親子との会話内容なども分析し、組織による洗脳や取り込みのプロセスについて事例を収集してきた。 子どもが過激思想に感化されていくことに困り果てた親たちの相談を受けてきた経験から、組織に取り込まれつつある若者の家庭での振る舞いが、どのように変化していくのかについて細かく書かれている。 洗脳が進むにつれ次第に、若者たちは組織が説くところの「宗教的実践」に従い始める

    『家族をテロリストにしないために イスラム系セクト感化防止センターの証言』「取り込み」はいかにして行われているのか - HONZ
  • 『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』獄中で本を読み漁るうちに… - HONZ

    フランク・シナトラがシチリアのパレルモに到着したのは、1963年10月のことだった。マフィアの新しいドンであるジェンコ・ルッソを表敬訪問するため、アメリカのマフィアから親善大使として送り込まれたのだ。 ところが世界的大スターであるにもかかわらず延々と待ちぼうけをわされ、ドン・ジェンコの自宅での昼会に招かれたのは2日後のことだった。大広間に案内されると、そこには12人の男たちが待っていて、主賓席には当たり前のようにドン・ジェンコが座り、シナトラはもっとも遠い末席に座らされた。 ボスが一口目を口に運んだのを合図に会がスタートする。全員が一斉にボスを真似する様は、まるでクローンのようだったという。ところが事の途中で困ったことが起きた。ボスがパンを手に取り、ポケットからジャック・ナイフを取り出し一切れ切り分け次の者にまわす。すると次の者も同じようにする。最後にシナトラの番になったが、どうす

    『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』獄中で本を読み漁るうちに… - HONZ
  • 『アルカイダから古文書を守った図書館員』 - HONZ

    2013年1月、アルジェリア東部の天然ガス精製プラントで、日人を含む大勢の外国人がイスラム過激派に拘束される事件が起きた。アルジェリア軍と過激派の交戦により結果的に少なくとも37人の外国人が死亡し、内10人はプラント大手「日揮」社員などの日人だった。このニュースが駆けめぐったときの衝撃は、今も記憶に新しい。 では、このとき犯行グループが何を要求していたかを知っているだろうか。そのひとつは、隣国のマリで進行中のフランスによる軍事介入を停止することだった。なぜマリ? そう首をひねる人もいるかもしれない。だがアルジェリアの事件の首謀者は、その軍事介入と浅からぬ因縁があった。そして軍事介入の背景には、1年近くにわたったアルカイダによるマリ北部の支配があり、その陰には危機を受けて敢然と立ち上がったひとりの男がいた。この知られざるドラマ

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  • 『ヒルビリー・エレジー』取り残された街のため息が、トランプを大統領に押し上げた - HONZ

    格差の問題が叫ばれて出して久しいが、格差が深刻化する中でさらなる問題が沸き上がりつつある。「格差を是正せよ」「ダイバーシティって素晴らしい」という掛け声とともにフォーカスが当たるのは、いつだって最底辺に位置するマイノリティの人ばかりなのである。 「鶏口となるも牛後となるなかれ」とはよく言ったものだが、アメリカで実施されたある調査でも、それを裏付けるような結果が出ている。子供世代が自分たちよりも経済的に豊かになるだろうと答えた人の割合が、黒人やラテンアメリカ系住民で優に半数を超えたのに対して、労働者階層の白人の場合は、44%のみにとどまったのだ。 このアメリカの「牛後」にあたる白人労働者層には、共通の特徴がある。多くは18世紀に移民としてやってきたスコッツ・アイリッシュ達で、南はアラバマ州やジョージア州、北はオハイオ州やニューヨーク州にかけて広がるアパラチア山脈の近くに住み出した。 先祖は南

    『ヒルビリー・エレジー』取り残された街のため息が、トランプを大統領に押し上げた - HONZ
  • 『住友銀行秘史』戦後最大の経済事件、イトマン事件を告発したのは私です - HONZ

    書『住友銀行秘史』は、日における「戦後最大の経済事件」と言われたイトマン事件を、銀行側からの証言で綴った貴重な資料である。当時、自分は住友銀行東京店の隣に位置する銀行で残業しながらヒーヒー言っていたが、まさか隣でこんな壮絶な出来事が繰り広げられていたとは…。自分はつくづく子供だったと思う。 バブルを経験していない若い人には理解できないかも知れないが、1997-98年の大蔵接待汚職事件を契機に大蔵省から金融庁と証券取引等監視委員会が分離独立するまでは、銀行というのはかなり恣意的な(ずさんな?)融資を行なっていたのである。 そして、新しい資市場や金融規制の流れを理解しないで、いまだに旧態依然とした経営を行なっている古い体質の大企業が不正経理問題などで次々と馬脚を現しているのは、必然の流れと言えるだろう。もはや「時代は変わった」のである。 1990年前後に起きたイトマン事件を覚えているの

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  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    シリアスとギャグのバランスが絶妙な『銀魂』面白さと入りやすさはど... 2018年09月27日 ギャグが好きな人、思いっきり笑いたい人は、シリアス長編エピソードの間に挟まれるギャグ編がオススメ。私は読者投票によるキャラクターランキングの結果発表後、ランキング結果を変えようとするキャラクター...

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  • 『戦場の掟』憎しみの連鎖を生んだビッグ・ボーイ・ルール - HONZ

    書はイラクで暗躍する民間軍事会社を扱ったルポタージュである。2009年に出版された同タイトルの文庫版であるため、扱われている事件やイラクの政治状況は少し古いものとなる。しかし今のイラク情勢に繋がるヒントの一端は読み解くことが出来る。 著者はワシントンポストの特派員としてイラク戦争を取材する。その活動により2006年にはピュリッツァー賞を受賞している。著者自身、イラクにおける戦場体験により、戦場という狂気に心を奪われることになる。友人や家族の反対を無視し、イラクへの取材を重ねる。そして、民間軍事会社という、現代の傭兵たちに出会う事になる。彼が取材した傭兵たちも、戦場という中毒性のある狂気に飲み込まれていた。 著者が密着した警備会社はクレセントというイタリア人が設立した会社だ。著者は米軍の取材から民間軍事会社に取材対象を変更した時点では、まだ民間軍事会社と言っても、その実態が玉石混淆である事

    『戦場の掟』憎しみの連鎖を生んだビッグ・ボーイ・ルール - HONZ
  • 『第三帝国の愛人』アメリカ大使一家が見た、ナチスの暗い真実 - HONZ

    1933年1月、ヒトラーがヒンデンブルク大統領の任命により首相になってから、翌1934年8月、ヒンデンブルクの死と同時にあらゆる権能を掌握し、絶対的な権力者・総統となるまでの2年弱。ヒトラーとナチスの「権力掌握の総仕上げ」が成され、日常生活に潜んでいた恐怖政治の実体が一気に表面化して世を覆い尽くすこの時代を、ヒトラー政権下で初めてベルリンに赴任したアメリカ大使とその一家が残した日記や手記、膨大な文書や歴史資料をもとに再現したのが書である。 シカゴ大学の教授で著名な歴史学者でもあるウィリアム・D・ドッドは、就任したばかりの大統領・ローズベルトから「政府に奉仕する気があるか聞きたい。ドイツに大使としていってもらいたいのだ」という電話を受ける。「ドイツリベラルアメリカ人の手を示してもらいたい」と。このときすでに4ヶ月も駐独大使の席は空席だった。が、ドッド自身にとっても、周囲の人々にとって

    『第三帝国の愛人』アメリカ大使一家が見た、ナチスの暗い真実 - HONZ
  • 『FIFA 腐敗の全内幕』FIFA腐敗のメカニズムを解明する - HONZ

    マネーロンダリング、韓国戦での八百長、W杯開催地選挙、会長選挙で飛び交う実弾。FIFAの闇はここまで深かった! そして2015年5月に迎えた、FIFA幹部の一斉逮捕。書『FIFA 腐敗の全内幕』は、その端緒をつくったアンドリュー・ジェニングス氏の、長年にわたる調査報道を余すところなく伝えた一冊である。今回は特別に、日版を手掛けた編集部による解説記事を掲載いたします。(HONZ編集部)※レビューはこちら 2015年5月の早朝、スイスチューリッヒの高級ホテルに米国司法省の意をうけたスイス警察が踏み込み、FIFA幹部を一斉に逮捕したそのニュースは記憶に新しい。 世界の人々は、突然FIFAの腐敗をつきつけられたような気がしただろうが、ジェニングス氏のこのを読むと、その腐敗は、70年代半ば以降のスポーツの商業主義化と軌道を一つにして始まっていたものであり、しかも、その度合いは

    『FIFA 腐敗の全内幕』FIFA腐敗のメカニズムを解明する - HONZ