――専門家や現地への取材を重ね、作品を描く中で、自然環境にまつわる印象的なことはありますか。 連載初期のころに面白いなと思ったのが、サケの皮で作った靴です。 「ゴールデンカムイ」では、ちょうど4月から放送中のアニメ第4期でチカパシという男の子が履いています。明治後期生まれの砂沢クラさんというアイヌの女性のご著書に、小学校の時に履いていたとありましたので、その頃までは使われていた地域があったということですね。 サケの皮の靴を履くアイヌの男の子チカパシ ©野田サトル/集英社 この靴、ヒレの部分が靴底にあって、雪道の滑り止めになるんですが、寒さで靴自体がカッチカチになるのでストーブで柔らかくしようと置いておくと犬に食べられるという、なんとも悲しくも可愛らしい話がありました。 僕は手元にサケ皮の靴の資料が欲しくて、二風谷の工芸家の方に作って頂こうと頼んだのですが、「もう現代のサケでは大人用の大きな