マンガの中の差別問題については、表現の自由とのからみで難しいところであります。差別の内容や範囲は時代、地域、体制でいくらでも変わってくる可能性があり、今日OKでも、明日はダメかもしれない。すべての人間は、常に差別をし、かつ差別をされる存在になりうるのです。1989年からの黒人差別をなくす会騒動を考えると、正邪とは別に、現代の表現にはそれなりの慎重さが求められている。 森薫「エマ」6巻が発売されてます。この巻で、エマはなんと誘拐されてしまうのですが(エマはかつて子供時代、ひとさらいにさらわれた過去があります。よくさらわれる人です)、このひとさらいは、鷲鼻で、長いヒゲ、黒い服、そしてサンタのように担いだ袋にエマを押し込める。エマが連れて行かれる先は新大陸アメリカです。 このひとさらいの絵は、6巻の表紙カバーの折り返しを広げると見ることができますが、この絵だけで、「エマ」は非難の対象になるかもし